佐賀町日記

林ひとみ

2018-01-01から1年間の記事一覧

とらや赤坂本店 | 内藤廣

先日、リニューアルした「とらや赤坂本店」へ行った。 ずいぶん長いこと建て替え工事中と思っていたら、 内藤廣氏の設計による新しい本店は、 すっきりとした佇まいのなかに、 木のあたたかみを感じさせる、 たおやかな空間に生まれ変わっていた。 地上3階・…

冬とティートリー

今年は秋から冬のはじめにかけて ずいぶんあたたい日がつづいている。 ときおり思い出したように 寒々とした冬空が訪れることがあっても、 またすぐに過ごしやすい日和につつまれて、 コートの出番はもうすこし後になりそうだ。 だからめずらしく 木枯らしも…

詩集「藍の月」

詩集「藍の月」をつくりました。 A5判、68頁。 詩22篇を挿画ととも収録。 2018年11月22日発行。 詩集を通して ご縁のある方と出逢えますように。 下記よりご注文いただけます。 よろしくお願いいたします。 季節書房HP https://kisetu-shobou.jimdofree.com …

バラの花 またひとつ

ベランダの鉢植えの バラの花がまたひとつ咲いた。 今年4月に挿し木した幼いバラの樹に 花が咲いてびっくりしたのは秋分の9月23日頃だった。 そのひとつめの花は1週間ほど元気に咲いていたが、 9月30日から翌10日1日にかけての夜中に通過した ものすごく大き…

詩 かぼちゃ

トリック・オア・トリート! いたずら・か・お菓子! かぼちゃの ランタンに照らされて 呪文をとなえる ハロウィンの魔法の夜 ニャーニャオと かわいらしい2匹の猫が 電車にのってきた 三角の耳に ふさふさした体毛と しっぽのついた グレーの猫は こどもで…

かぼす 2018

今年もかぼすの季節がやってきた。 猛暑や台風などの変りやすいお天気にもめげず、 むしろ寒暖の差のはげしさも手伝って、 今年はたとえばぶどうの実りがよいときいたけれど、 9月のおわりに届いた大分のかぼすも、 いつになく元気いっぱいだった。 夏はあん…

声楽公開レッスン ウィリアム・マッテウッツィ

先日、国立音楽大学・講堂小ホールで 声楽の公開レッスンを聴講した。 講師はイタリアから招聘された William matteuzzi/ウィリアム・マッテウッツィ教授で、 2015年以来、毎年来日し講義されているそうなので、 今年で4年目・4回目になるのだろうか。 イタ…

バラの花

4月に挿し木したばかりの バラの樹に、一輪の花が咲いた。 まだ背丈も30㎝にならないくらいの 子どもの樹だと思っていたので、 つぼみができて、ふくらんで、 日々すこしずつひらいていく様子に、 ほんとうにびっくりした。 昨年11月に切り花でいただいた時…

ルネ・フレミング インナー・ヴォイス

アメリカのオペラ歌手 ルネ・フレミ ング/Renée Flemingの自伝 「THE INNER VOICE : The Making of a Singer /魂の声 プリマドンナができるまで」を再読した。 冒頭でも語られているように本書は 人生の自伝というよりも声の自伝、 「私がいかにして自分の…

あつい夏

2018年の夏はほんとうに暑かった。 ときどき台風が通り過ぎて つかの間の涼しさにほっとすることもあったけれど、 またすぐに太陽がギラギラと、 そのうちにメラメラと、 降りそそぐ熱量がすさまじかった。 小学校の中学年頃だったか、 夏休みの宿題のひとつ…

40年

今年2018年の8月で40歳になる。 はじめて到達する年代に、今まで感じたことのない、 ほどよい重みを感じている。 たとえば、木の年輪やバウムクーヘンの重なりを ひとつずつ数えてみる。 1.2.3.4.5・・・10・・・20・・・30・・・と、 30くらいまでは気軽な…

声楽の発表会

猛暑が続く東京は代々木上原のムジカーザで、 声楽の発表会を鑑賞した。 5月から通い始めた声楽教室の発表会と、 フランス歌曲を専門とする先生が敬愛する ドビュッシー/1862‐1918の没後100年を 記念したミニコンサートを併せての、 ボリュームたっぷりのマ…

溥儀 | わが半生 「満州国」皇帝の自伝

初夏から梅雨にかけて 溥儀/ふぎの自伝「わが半生/我的前半生」を読んだ。 昨夏に記録映画「東京裁判」を観た際に、 法廷で証言をする溥儀に興味をもったことと、 ベルトルッチの映画「ラストエンペラー」を 再観したことが、きっかっけだった。 愛新覚羅…

茅の輪くぐり

夏日がつづいている関東地方、 2018年の梅雨は6月29日頃にあけたことを 山手線のトレインチャンネルで知った。 そろそろ夏も本番だ。 翌日、6月も最終日のよく晴れた空に、 太陽をぐるっとかこんだ虹のようなものが現れた。 ちょうどお昼頃だったので 太陽は…

図書館

図書館がすきでよく利用する。 詳しく調べたい事柄があるときは 蔵書検索のデーターベースがとても便利だし、 区内に在庫がないときは 他区の図書館から取り寄せて借りることもできるし、 新しい世界を求めているとき、 あるいはなんとなく、 なにかと近所の…

エルンスト・ルビッチ | To Be or Not to Be

エルンスト・ルビッチ/Erunst Lubitsch の 映画「To Be or Not to Be/生きるべきか死ぬべきか」を観た。 第二次大戦中の1942年にアメリカで制作された本作は、 恋愛と戦争サスペンスとが織り込まれた シニカルなコメディタッチのモノクローム映画だ。 物語…

バラの樹

子どものころ住んでいた祖父母の家の庭に 淡いピンク色のバラの樹があった。 子どもの背丈くらいの若い樹だったと思う。 あるとき祖母が挿し木という栽培方法を教えてくれた。 ある種の植物を、適当なところで切って、土に挿すと、 うまくゆけば育つのだとい…

ミルチャ・カントル展 | 銀座メゾンエルメス

先日、銀座メゾン・エルメスのギャラリーで ミルチャ・カントル展を観た。 「あなたの存在に対する形容詞」と題された個展は、 1977年ルーマニア生まれの作家による、 存在性という古典的なテーマを 現代的に表現した試みだと感じた。 会場にはスタイルの異…

詩 しゃぼん玉

まんまる きらきら 夢いっぱいに ふくらんだ しゃぼん玉のような こどものひとみが いつしか 音もなく はじけて しぼんでしまうことがあっても だいじょうぶ 地球に やってきたばかりの 幼いたましいは 色々なことを 経験したくて 好奇心で いっぱいだから …

魔の山 | トーマス・マン

ちょうどひと冬をかけて、 ドイツの文豪トーマス・マンの 「魔の山/DER ZAUBERBERG」を読んだ。 1924年に発表された全2巻の長編小説は、 スイスの高原サナトリウムでの療養生活を舞台とした 青年ハンス・カストルプの7年間にわたる成長物語であり、 同時に…

熊谷守一 生きるよろこび

桃の節句が過ぎた頃、 「熊谷守一 生きるよろこび」展を 竹橋の国立近代美術館で観た。 画家・熊谷守一/くまがいもりかずの 没後40年の記念展でもある本展は、 油彩200点と、日記・葉書・スケッチ帳などの 資料およそ80点とが一堂に会した、 はれやかな大回…

詩 藍の月

昼と夜の 淡いはざま 夕暮れどきの ゆらめく空に おとぎ話のような 三日月が ぼうっと うかんでいた やわらかな 藍と桜色とに 彩られた世界は めくるめく 甘美なシンフォニーを 総奏しているかのようだった 青と赤の 優美なドレスを纏った イソヒヨドリが 飛…

さくら 2018

ベランダの啓翁ざくらが開花した。 ピンク色の可愛らしい花に 今年も逢えてうれしい。 ひとあし先の2月に花を咲かせる 寒ざくらや河津ざくらは、 春の本格的な訪れをほのめかせて、 人の心を次の季節へと誘う予言者のよう。 そして、冬と春がせめぎ合う ドラ…

小石川植物園 梅花見

先週末、早春のやわらかい陽射しの散歩日和に、 梅の花が見頃を迎えた 文京区の小石川植物園を散策した。 東京メトロ・丸の内線の茗荷谷駅から 坂を下ること徒歩10分ほどの距離にある植物園は、 都市のなかにありながら半ば隔絶された 大きな緑の箱庭という…

詩 春いちばん

くる日も くる日も くるくると 公転している地球に 季節がめぐるように ひとの心にも 四季があるとしたら 冬の厳しさを やり過ごすように ぎゅうぎゅうと 胸にしまわれた いたみや かなしみは 陽気に 吹きあれる 春いちばんに あずけましょう また 動物たち…

W3 ワンダースリー | 手塚治虫

漫画家・手塚治虫/1928-1989の中期の名作 「W3 ワンダースリー」を読んだ。 きっかけは友人の今年の初夢だ。 「今年は手塚治虫の漫画ワンダースリーの 物語の終盤がそのまま夢にでてきた」とのことで、 つづけて物語の概要を解説してもらう。 「ワンダース…

帯状疱疹とお正月

2018年のお正月は帯状疱疹とともにやってきた。 なにかと気忙しい年末は12月30日の夜に 唐突にはげしい腰痛がはじまった。 大掃除というほどではないが、 普段は手が回りにくい浴室のタイルとか、 冷蔵庫の裏とか、クローゼットの下とか、靴箱とか、 あちこ…

詩 ゆめ

夢をみている 夢をみた 夢のなかの またその夢 そばにいる君と鳥と 夢のなかでも遊ぶ わたしたちがいま 生きている時空は 本当には なんだろう わたしも きみも あのひとも ほんとうに みたい物語 つくりだす 魔法使い 夢をみている 夢をみた 夢のなかの ま…