佐賀町日記

林ひとみ

うるふ月 新宿御苑

今日は2月29日。

4年にいち度の閏日だ。

 

この日にうまれた知人は、

4年に1歳しか年をとらない、

といっていた。オリンピックみたい。

たとえば同級生が還暦を迎えても

まだ15歳なのかな。いいのかな。

 

梅と水仙の見頃の新宿御苑で、

幼稚園から小学校と中学校と

高校までずっと一緒だった友人と、

ものすごく久しぶりに再会した。

彼女は確か5月生まれのお姉さんで、

ピアノが上手だった。

 

学生の頃は、

おてんばな私と、おしとやかな彼女とでは、

テリトリーがちがうというか、

特に仲良かったわけではなかったけれど、

大人になってから、

彼女の転勤先の山口に遊びに行ったり、

香川の直島にいるときに遊びに来てくれたりで、

ときどき思い出したように、交流がつづいていた。

山口の秋吉台や萩までのドライブ、

直島の宮本隆司さんのピンホールの展示場などを、思い出す。

その後、高校の同窓会で見かけたり、

彼女の結婚式で受付をしたり、

年賀状をやりとりしたりで、

20年ぶりくらいだったのかも。

 

お互いにわかるかなと思ったけれど、

マスクをしていても、

遠目にすぐに彼女だとわかった。

久しぶりの第一声は、

「○○ちゃん、おばちゃんそっくりー!」

「そうなの!似てきたでしょー!」

だった。

 

雨続きの中日、

日傘があってもいいくらいの、

びっくりするくらいの晴天で、

お弁当を買って、芝生の木陰で、

ピクニックみたいにお昼を食べた。

さわらの西京焼きが美味しい。

梅酢でほんのり桃色に染まった

お花の飾り切りの山芋もきれい。

目の前の、梅と水仙のよい香り、

めじろかな、小さな鳥が、あちこちに。

そういえば、鳥ずきの彼女の新婚旅行は

カナリア諸島だったよね、というと、

いまも四羽、家のなかで、

放し飼いにしているのだとか!

 

福寿草、早咲の薩摩寒桜もたわわ。

かっこいい赤松に黒松、

叡智を宿したようなシベリアシーダー、

ハルニレ、メタセコイヤなどの大木の、平和。

ツーリストが半分くらいの多国籍の苑内に、

日本人の若い女性、やっと歩けるくらいの

赤ちゃんを連れたお母さんたちが多かった。

転んでも心配ない、広々とした芝生の広場。

覚えていないけれど、同じようにここで、

よちよちの歩きのわたしの写真がアルバムに。

 

彼女の近況、

中学生と小学校高学年になった息子さん、

だんなさん、ご両親、弟さんなどの話や、

同級生たち、学校の先生たちのなどの話をしながら、

広い広い下賜庭園を、ぐるりとまわる。

妙なことを覚えていたりで大笑い。

苑内のスターバックスは、おそろしいほどの行列で、

また来るときは、飲み物をもって来よう。

 

桜の時期、3~4月の週末は予約制になるみたい。

会えてとても楽しかった。