佐賀町日記

林ひとみ

展示

モナ・ハトゥムの地図

3月にはいって、雨の日が多い。 うす灰色の雲におおわれた横長の世界は、 いつもより天と地が近づいたよう。 そんなパノラマな雨の日に、 瀬戸内の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館へ、 モナ・ハトゥムの「地図」をみに行った。 新幹線の「のぞみ」で岡山に入り、…

直島と月島で

瀬戸内は香川県の直島で、 2006年の秋と、2007年の春に、 島全体を展覧会会場として開催された 企画展「直島スタンダード2」。 その時に一緒にスタッフとして参加した友人と、 東京の月島で束の間の再会をした。 毎年、年賀状のやりとりをしていたから、 ご…

チームラボプラネッツ

江東区の豊洲で2018年から開催されている エキシビジョン「チームラボプラネッツ」へ行った。 オープニングの頃は、とても混雑して、 人混みの苦手なわたしにはハードルが高かったけれど、 パンデミックをのりこえて、 ついに今年いっぱいで終了ということで…

オラファ―・エリアソン ときに川は橋となる

残暑のはげしい9月のはじめに 東京都現代美術館の企画展 「オラファ―・エリアソン ときに川は橋となる /Olafur Eliasson Sometimes the river is the bridge」を観た。 COVID-19の騒ぎがあって以来、 はじめて行くことができた展覧会だった。 江東区木場公…

とらや赤坂本店 | 内藤廣

先日、リニューアルした「とらや赤坂本店」へ行った。 ずいぶん長いこと建て替え工事中と思っていたら、 内藤廣氏の設計による新しい本店は、 すっきりとした佇まいのなかに、 木のあたたかみを感じさせる、 たおやかな空間に生まれ変わっていた。 地上3階・…

ミルチャ・カントル展 | 銀座メゾンエルメス

先日、銀座メゾン・エルメスのギャラリーで ミルチャ・カントル展を観た。 「あなたの存在に対する形容詞」と題された個展は、 1977年ルーマニア生まれの作家による、 存在性という古典的なテーマを 現代的に表現した試みだと感じた。 会場にはスタイルの異…

熊谷守一 生きるよろこび

桃の節句が過ぎた頃、 「熊谷守一 生きるよろこび」展を 竹橋の国立近代美術館で観た。 画家・熊谷守一/くまがいもりかずの 没後40年の記念展でもある本展は、 油彩200点と、日記・葉書・スケッチ帳などの 資料およそ80点とが一堂に会した、 はれやかな大回…

METとパブリックドメイン

先日、朝日新聞にて ニューヨークのメトロポリタン美術館が パブリックドメイン/著作権が無効となった所蔵作品の オープンアクセスに関するポリシーを変更したという記事を読んだ。 1870年設立のメトロポリタン美術館は、 過去5000年におよぶ世界各国の文化…

旧白洲邸 武相荘

ゴールデンウィークの中日に、 東京町田市にある 旧白洲邸・武相荘/ぶあいそうへ行った。 白洲次郎・正子夫妻の旧邸宅は、 新宿より急行でおよそ30分、 小田急線・鶴川駅より徒歩15分ほどの小高い丘のうえに、 こんもりとした緑につつまれて、穏やかに佇ん…

すみだ北斎美術館

染井吉野が葉桜になりかけ、八重桜が満開に近い頃、 昨年11月にオープンした、すみだ北斎美術館へ行った。 江戸時代後期の絵師・葛飾北斎/1760-1849の ほぼ生誕の地に新設されたという美術館は、 JR両国駅からほど近い緑町公園の一角にあった。 一説によ…

古唐津 | 出光美術館

3月の終わりに、有楽町の出光美術館で 古唐津/こがらつ展を観た。 古唐津とは、桃山時代/16~17世紀にかけて 九州の肥前/佐賀および長崎地域で焼かれた焼き物で、 戦国大名が連れ帰った朝鮮陶工たちを起源とする 近世初期の窯場のひとつだ。 展覧会では、…

クリスチャン・ボルタンスキー アニミタスーさざめく亡霊たち

美術作家クリスチャン・ボルタンスキーの 東京での初個展「アニミタスーさざめく亡霊たち」を 目黒の東京都庭園美術館で観た。 クリスチャン・ボルタンスキー/1944ーは 匿名の人々の生や死をモチーフとした ホロコーストを連想させる作品群や、心臓音のアー…

展示 アイノ・アールト | AINO AALTO Architect and Designer ー Alvar Aaltoと歩んだ25年

フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アールトの 公私におけるパートナーとして知られる アイノ・アールトの展覧会を、 竹中工務店東京本店のギャラリーエークワッドで観た。 アルヴァ・アールト/1898-1976は 20世紀前半の、新しい技術や素材による 機能…

展示 ジュリア・マーガレット・キャメロン展 | 三菱一号館美術館

「ジュリア・マーガッレト・キャメロン展」を 三菱一号館美術館で観た。 ジュリア・マーガレット・キャメロン/1815-79は、 イギリス領であったインドのカルカッタに生まれ、 英国の上層中流階級の社交生活を謳歌するなかで 1863年にカメラを手にし、独自の…

アルテピアッツァ美唄 | 安田侃

8月の終わりに、北海道の美唄/びばいにある、 彫刻家・安田侃のホームグラウンドのひとつの 野外彫刻公園・アルテピアッツァ美唄へ行った。 札幌から北へおよそ60km、 JRの特急電車で35分ほどの美唄市は、 1913~73年に有数の炭鉱都市として栄えた町で、 美…

建築 21世紀キリスト教会 | 安藤忠雄

渋谷区広尾に2014年に建てられた 安藤忠雄氏設計による「21世紀キリスト教会」へ見学に行った。 日曜日11時からの礼拝に参加する。 50名ほどだろうか、比較的若い人々を主に会場は埋まり、 前半30分は讃美歌、後半30分は講壇にあてられ、 この日は「尊敬」と…

旧古河庭園と洋館/大谷美術館

陽射しはつよいが風のきもちよい午後、 北区西ヶ原の旧古河庭園と洋館/大谷美術館へ行った。 国指定名勝として東京都が管理している庭園は バラの見どころとして知られ 春と秋のシーズンは混雑しているようだが、 その日は休日にもかかわらず、 ゆったりと…

展示 フリーダ・カーロと石内都

七夕のころ、 石内都展「Frida is」を資生堂ギャラリーで観た。 1947年生まれの写真家・石内都/いしうちみやこは、 かつての生者たちの遺物を女性らしい繊細さで記録した仕事、 近年の「Mother's」や「ひろしま」「Frida by Ishiuchi」などで よく知られて…

展示 北大路魯山人の美

展覧会「北大路魯山人の美 和食の天才」を 三井記念美術館でみた。 「和食」のユネスコ無形文化遺産登録の記念展として 2015年6月より京都国立近代美術館で開催され、 同年8月に島根の足立美術館を、 2016年4月からは東京を巡回している企画展だ。 北大路魯…

展示 みなでつくる方法 吉阪隆正+U研究所の建築

みなでつくる方法 吉阪隆正+U研究所の建築展を、 湯島の国立近現代建築資料館で観た。 吉阪隆正/よしざかたかまさは、 1917年東京生まれの建築家で、 その多岐にわたる活動から、 登山家や冒険家や思想家ともいえるだろう。 早稲田大学理工学部建築学科で…

展示 石黒宗麿のすべて

「石黒宗麿のすべて」を松涛美術館で観た。 石黒宗麿/いしぐろむねまろは 1893年に富山県に生まれ、 25歳で耀変天目茶碗に魅せられて陶芸を志し、 1955年に鉄釉陶器で人間国宝に認定された陶芸家だ。 特定の師にはつかず、 35歳で古陶磁研究者の小山富士夫…