佐賀町日記

林ひとみ

さくら 2023

ベランダのさくらの花が咲いた。

挿し木をして14年目の啓翁桜。

水だけで、肥料もなく、

毎年咲いてくれる。

2023年のお花を、ありがとう。

 

靖國神社の今年の開花は、

14日のホワイトデーだったよう。

温暖化の影響か、

年々開花が早まっているらしい。

 

その新聞記事の見開きには、

昨年の小中高生の自殺が過去最多だったとある。

全体では減ったり増えたりしているなかで、

若い人たちがますます生きにくさを感じているのは、なぜだろう。

大人たちの抱える不安を敏感に感じとって、

肩代わりしているようにみえることも、

あるようなないような。

 

「あなたのチケットが

 ウクライナの子供たちを殺した」

というプラカードにびっくしりたのは昨夜、

ロシアのソプラノ歌手アンナ・ネトレプコさんと

旦那さんのユーシフ・エイヴァゾフさんの

コンサート会場の入口だった。

赤坂のサントリーホールの前には、

ウクライナの国旗や、犠牲者の写真パネルを手にした、

ウクライナの関係者と思しき方々20名くらいが、

人通りを囲むように左右に並んでいらっしゃる。

ただ無言で、ときどきボードを振ってアピールするくらいだけれど、

思わず胸を突かれてしまった。

 

コンサートはとても素晴らしかった。

プログラムは、ヴェルディプッチーニ

ドラマチックなアリアから、

母国のチャイコフスキーも組まれていて、

おふたりの全身全霊の歌唱と、

この上なく美しいピアニッシモに、心を打たれた。

もちろん会場は満員で、

わたしのいた2階席へも充分な声が届いてきたし、

またステージ後方の席の方々のために、

何度も後ろを向いて歌っていたのが、印象的だった。

声を響かせる方法、そして色々な音色をつくる方法を、

よく知っていて、天性と相まって、その人にしか歌えない、

信じられないような歌の可能性をみせてくれる。

アンコールはサービス精神たっぷりな

忘れな草」と「オ・ソレ・ミーオ」の2曲。

3時間近くにわたる、美しい時間だった。

 

22時まえにホールを出てみると、

先ほどのウクライナの方々はもういなかった。

わたしのチケットは、

ウクライナの子供たちを殺したのだろうか。

極論だけれど、そうかもしれないし、

そうじゃないかもしれない。

でも一番大事なのは、

なにかを言わずにはいられない方々がいること、

そしてその気持ちだと思った。

平和的なやり方なら、表現の自由は必須だし、

ロシア国民のなかにも、反戦のために

闘っている人もいる。

表現の自由の許されない国にあって、

それはほとんど命懸けだ。

 

強い想いは、現実を動かすと思う。

より多くの人がポジティブな想いで動いたら、

ものすごいパワーがうまれるはず。

太陽の光みたいに。

 

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