佐賀町日記

林ひとみ

チームラボプラネッツ

江東区豊洲で2018年から開催されている

エキシビジョン「チームラボプラネッツ」へ行った。

オープニングの頃は、とても混雑して、

人混みの苦手なわたしにはハードルが高かったけれど、

パンデミックをのりこえて、

ついに今年いっぱいで終了ということで、

観にいったら、やっぱりとてもよかった。

予約も大分とりやすくなっていた。

 

チームラボを初めて知ったのは、

2013年に銀座の田崎真珠のギャラリーで開催された

「バランス・エクスペリアンス・アート

 / TASAKI balance EXPERIENCE art by teamLab」だった。

真珠からインスピレーションをうけたという、

人の大きさくらいある風船のような球体が、

鏡ばりのギャラリーいっぱいに詰めこまれて、

すみれ色に発光したその球体の森を

逍遥するようなインスタレーションだった。

わたしのよくみる夢とほんとうにそっくりで、

強く共鳴したのを覚えている。

原型はそのままに、ほんのすこし進化した作品を、

豊洲でも体験することができ、うれしい。

 

チームラボは、

テクノロジーを用いたクリエイション集団で、

HPには「ウルトラテクノロジスト集団チームラボ」とある。

東京大学東京工業大学の院生や学部生たちが集まり、

2001年ころから活動を開始、

その躍進は目を見張るようで、

フィールドは世界各地に広がっている。

最近では、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」の

新プロダクションの舞台装置も手掛け、

とくに声楽に関心のあるわたしには印象的だった。

トゥーランドット」は恐ろしい物語なので、

この東京公演を観ることはなかったのだけれど。

 

豊洲のプラネッツでは、

主に8つのインスタレーションを体験することができた。

とくに素晴らしかったのは、

「The Infinite Crystal Universe」で、

鏡でつくられた無限の空間に、

夥しいLEDライトが光りの宇宙を描き、

めまぐるしく色を変えながら動きつづけ、

そのなかへ迷いこむような美しい作品。

ミクロとマクロの世界への浮遊感も。

もうひとつ楽しかったのは、

「やわらかいブラックホール」で、

真暗闇のなかを、真黒い布で覆われた、

もこもこふわふわのスポンジみたいなもののなかを

裸足で歩いて先へすすむアトラクション。

プラネッツ全体が、闇と光のなかを、

裸足で体験するように構成されていて、

ひざ下まで水に浸かる展示室もあり、

多少やらされている感がないとはいえないけれど、

長野の善光寺のお戒壇巡りを思い出して面白かった。

子どものわたしは、何も見えない暗闇が怖くて怖くて、

泣いて途中で引きかえしたっけ。

 

チームラボの作品はとてもハッピーだ。

だから虚構と知りつつそれを楽しめる。

そして超現実に触れられる。

まさに活動のテーマは「実験と革新」で、

その方法論はボーダレスだという。

境界をあいまいにすることで、

人の認識は広がるから、

今まで気づかなかったことに気づくようになる。

 

わたしの身体が

わたしの意識が

とけてなくなるよう

わたしという存在が

でも なくなったのではなく

ひとつになっただけ

大きなわたしと

みんなと 世界と

 

teamLab / チームラボ