佐賀町日記

林ひとみ

御岳山 奥の院・大岳山など

令和の天皇誕生日の祝日に、

奥多摩の御岳山へ山登りにいった。

 

先月1月に予定したコース、

御嶽神社奥の院への初詣だけれど、

雨のために見おくったので、改めて。

ホリデー快速で8時過ぎに御嶽駅に着き、

山なかまのアキさんと合流、

バスとケーブルカーを乗り継いで、

標高900m近い天空の御師町へ。

山頂の御嶽神社への参道をわきへそれて、

登山道へ入ったのは9:10頃。まだ人はまばらだ。

すぐにユニークな形の「天狗の腰掛け杉」の分岐で、

奥の院のほうへすすみ、石の鳥居をくぐる。

予報は曇りだけれど、青空が広がりうれしい。

山へ入ると、お天気がよいだけで、

気もちは随分ちがう。安心して歩くことができる。

ほどよく登りがいのある山道を40分程ゆくと、

小さな石の祠の奥の院1077mへついた。

山がご神体で、頂はさっぱり、清々しい。

御嶽神社の遙拝所から望める山だ。

聖なるものは、ふもとでは、だれにでもわかるように、

たとえば神社として威厳や荘厳をそなえているけれど、

よほどの人しか行かない奥の院では、それらは必要ない。

まるで沖縄の御嶽/うたきのように、

ひょうしぬけするほど、なにもない。

「やっと来れました」とご挨拶していると、

遠くで、ごぉぉぉぉぉぉぉと、

大きな風が動き、その響きにつつまれた。

 

その先の鍋割山1084mまでは20分程の

歩きやすい尾根道がつづいていた。

昨年の12月末に熊が発見されたらしい場所なので、

お互いのために、鈴を大きく鳴らしながら歩く。

こういうとき、人とすれ違うと本当にほっとする。

鍋割山のさりげないピークに着いたのは10:20頃。

まだ時間も早いので、地図をみて、アクバ峠から、

高岩山までまわってみようということで、

すすんでゆくと、分岐のサインを見まちがえて、

いつの間にか大岳山の山荘まで来てしまった。

ここまでくれば山頂までもうひと息、

きけば岩場の急登を約20分ということなので、

山頂でお昼を食べることにする。

岩をよじ登るのは楽しくて大すきだ。

途中、雪がほんのすこし残っている箇所もあったが、

見晴らしのよい山頂1266mは、風もなく、

心地よい陽ざしのなかで、鮭むすびや芥子あんぱんを食べた。

雪化粧の富士山は、雲隠れして裾野だけみえた。

 

12:20頃に下りはじめて、来た道を戻り、

見おとしたらしい分岐をアクバ峠のほうへすすむと、

まもなく上高岩山1011mについた、13:10頃。

ほんとうにささやかなピークだったけれど、

そこからロックガーデンへ下りてゆく道は、

予想外にハードでワイルドで、どきどきした。

あまり人の入らないコースのようで、

道は細くて心もとないし、鎖や梯子も続くし、

落葉はすべるし、疲れのでてくる時間帯だし、

熊らしき巨大な糞にも出逢うしで、

先月歩いたロックガーデンの渓谷に合流したときは、

心からほっとした。まるで別世界のように、

軽装の人がたくさん散策している。

境界線はみえないけれど、

人の領域と、野生の領域は、

はっきりわかれているよう。

なにはともあれ、

怪我もなく、道迷いもなく、よかった。

 

御岳山駅15:06のケーブルカーで下山、

バスと電車を乗り継いで、

最寄りの水天宮前駅に着いたのは、17:40だった。

瑞穂町在住のアキさんにいただいた

銘菓の青梅せんべいが

昔ながらの素朴な製法で、とても美味しかった。

 

そういえば上高岩山への道すがら、

黒くて大きな岩が、神さまにみえたっけ。

 

探梅といふわけもなく山の梅  ひとみ

 

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