心地よい秋晴れの日、
東京八王子市の高尾山に登った。
高校1年生のレクリエーション行事で登って以来、
とても久しぶりの高尾山。
行楽地と霊山という二面性をもつ魅力的な山で、
ひとりでも道迷いの心配がないのがうれしい。
平日の通勤ラッシュになるべく重ならないように、
すこし早めに出て、8時に高尾山口に着く。
新米のおむすびを食べてストレッチをし、
稲荷山コースの尾根道を登り始める。
7つあるコースのうち、
しっかり山登りできる唯一のコースときく。
次第に自動車などの生活音から遠ざかり、
樹々と鳥とどんぐりの落ちる音くらいになってゆく。
安心して感覚をひらいてゆく。
時々ぽきっと枝の折れる音がする、
なにか小動物がいるのかも。
こちらの様子をうかがっているのかしら。
息切れせずに歩きつづけられるペースを
確かめながら進むうちに、体が軽くなってきて、
あっという間に山頂599mに着いた。
思ったより早く、3kmを60分で、まだ9:30。
雲に隠れて富士はみえない。
またおむすびをひとつ食べて、
その奥の小仏城山/こぼとけしろやままで、
行ってみることにする。
それがひょんなことから、
道中で知り合った女性との二人旅になった。
高尾山頂の手前でお会いしたクミコさん、
同じペースで後ろをずっと歩いてらしたので、
自然と話かけたことから、なんとなく。
でも彼女は山頂からすぐに下山する予定で、
私はその先へ足をのばすことを考えていたので、
山頂に着いたところでさよならしたのだが、
どういうわけか分岐点でまたばったり。
驚いたついでか、じゃあご一緒します!といって、
あらためてその先をふたりで歩き始めた。
きけばスキーのインストラクターをされている方で、
後から私の歩き方をみて、
左の足の運び方がちょっと変で、
ひざに負担がかかっているから、
こういうふうにしてみて、と教えてくださる。
言われてみれば思いあたることがちらほら。
たとえば高校生までしていたスキーで、
左のターンがしにくかったこと、
中学のバレーボールの部活で捻挫して、
左足首の靭帯が伸びてしまっていること、
骨盤の左側に捩れがあって神経を圧迫していると
整体の方に指摘されたことなど。
クミコさんはスキーで足を粉砕骨折されて、
しばらく車椅子の生活を余儀なくされ、
歩く練習を一からはじめたご経験があるそうだから、
人の歩き方が手に取るようにわかるらしい。
そんなお話をしつつ、草花を愉しみつつ、
60分で小仏城山の山頂670mに着いてみると、
高校生の頃の記憶そのままの山小屋に、
あのときここまで来たんだ!と、感慨深い。
四半世紀ほど経っているのに覚えていること、
山小屋がほとんど変わらないこと。
あの時は確か相模湖の方へみんなで降りた。
11時すぎだったのでおむすびをまた食べて、
この日は、来た道を高尾山へ戻り、
私は沢沿いの6号路を、クミコさんは稲荷山を、
それぞれ下山した。別れ際に交換したLINEで、
帰りも同じ14:28発の電車に乗っていることが判明し、
5号車から1号車へ来てくれて、
来月は小仏城山のその先へ行ってみよう、
ということになった。
きれいなすすきの原。赤紫のあざみ。
ターコイズブルーの大きな蝶も。
白いサラシナショウマのよい香り。
沢沿いにきのこが群生して妖精がいそう。
妖精に会ってみたい。