佐賀町日記

林ひとみ

臼杵山

広島でG7のサミットが開催されるなか、

東京のあきる野市と檜野原村にまたがる、

臼杵山/842mへ登った。

 

水天宮前駅5:16の電車に乗り、

西武新宿線とJRを乗り継いで、

およそ2時間で武蔵五日市駅に着く。

山仲間のアキさんと合流し、

藤倉行のバスで約25分、

元郷の登山口/262mに入ったのは8:15頃だった。

2か月ぶりの登山なので、

体の様子をみながらゆっくり進む。

30分ほど登ると、体があたたまって、

呼吸も楽に、足取りも軽くなる。

歌のために、のどをあけて、

舌を柔らかくしたまま、上半身を楽にして登る。

半袖だけれど汗ばんで、

アームカバーや帽子を脱ぎたくなる。

赤土の山道は湿っていて、人はほとんどない。

鳥たちの鳴声はとても賑やか。

ふたりしずかや、やまぼうし、小あじさい、

うつぎなどの白い花、朱色やピンク色の山つつじ、

若みどり色の松の芯や新芽などを横目に、

新緑の明るい雑木林のなかを楽しく歩く。

1時間ほどで小休止、水分や糖分を補給していると、

はじめて耳にする不思議な鳴声にびっくりする。

すぐ近くでPoとBoの中間くらいの、

大きくて丸くて太い笛みたいな声が7回。

別の場所でも遠くで同じ鳴声がきこえたが、

後で調べてみると、アオバズクのようだった。

こちらからは見えないけれど、

あちらからはきっと見えているはず。

ご挨拶してくれたのなら、うれしいな。

90分ほどで、山頂の手前の臼杵神社に到着。

応永4/1397年に麓の集落に建てられたものの、

悪夢のお告げにより、

永禄3/1560年に現在の山頂付近に移されたとか。

とても小さな石の祠の神社で、

農業・養蚕の神さまが祀られているらしい。

「無事に登って来られてうれしいです」と

手を合わせると、雨がぽつぽつと降ってきた。

神さまに通じたのかな、

樹々にまもられて雨音を聴いたひとときだった。

10分ほど進むと山頂に到着、11:15。

お昼にはまだ早いので、

荷田子のバス停へ下りてゆくコースを先へ進む。

このなだらかな復路がとても楽しく、

森のなかの小径をゆくような、

色々な植物のなかを巡るような、

野性的な雰囲気にワクワク。と思えば、

クマの糞らしきものに遭遇してどきり。

念のために鈴をならして歩いていたけれど、

登山道を抜けたところで、

ツキノワグマが生息しています」というサインをみつけて、

またどきり。なにもなくて本当によかった、11:45。

カルミアの花が満開だった。

 

秋川渓谷の河原で、お昼のおむすびを食べる。

曇りだけれど太陽があたたかい。

縞模様の10㎝くらいの魚や、ターコイズブルーの蜻蛉や蝶、

ついでに毛虫まで、生き物たちがあちこちに。

近くの温泉「瀬音の湯」の足湯に入り、心地よく、

帰りの電車は眠ってしまった。16:30には家に着き、

あきる野空豆と、スナップエンドウやパセリを

サラダにして食べた。パセリはハーブみたいに淡い。

 

ウクライナのゼレンスキー大統領も駆けつけた

広島サミットの新聞記事を読みたいけれど、

とても眠くて眠くて、また明日。

原爆で亡くなったり苦しまれた方々の命が、

どうか報われますように。