佐賀町日記

林ひとみ

76回目の終戦日

今日は76回目の終戦日。

数日前から雨が降り続いて、肌寒い。

空は灰色の厚い雲に覆われている。

朝なのに、夕方にみたいに薄暗い。

 

お盆に入ってすぐ、

DVDで「東京裁判」を観た。

講談社の企画・制作、

小林正樹監督のチームが5年がかりで、

1983年に完成したドキュメンタリー映画だ。

密度の濃い4時間37分の歴史的記録。

 

今回は、東京裁判の判決から70年の節目の年、

2018年に完成したデジタルリマスター版を観ることができた。

映像がクリアになって、一部にテロップも追加され、

心なしか音声もすっきりしたように感じられた。

なんど観ても強く心を揺さぶられる歴史の一幕。

今回は特に、武満徹さんの音楽と、

佐藤慶さんのナレーションに共感。

この際、いかにも適切だと思えたのだ。

 

広島と長崎の原子爆弾の惨事以来、

それにもかかわらず世界から

戦争はどうしてなくならないのだろう。

戦勝国にはまた別の見方があるのだろうか。

人間てなんだろう。

なにがしたいのだろう。

ときどきわからなくなる。

 

今年のはじめに逝去された歴史探偵の半藤一利さんは

亡くなる直前に奥様の末利子さんに、先の戦争について、

 「日本人って皆が悪いと思ってるだろう。

  日本人は悪くないんだよ。墨子を読みなさい。」

   /「硝子戸のうちそと」半藤末利子著・講談社2021年4月初版

と言い残されたという。

 

いま世界のパワーバランスは、

金融経済と武力保有のバランスそのものにみえる。

いつの時代もそうなのかもしれないが、

そのことにもっと疑問をもちたい。

ほかの方法がないのか、

より合理的で包括的な原理はないのか。

つまり私たちはなにを信じているのか。

 

東京裁判を観てあらためて、

人間に人間を裁くことはできないと思う。

だからわたしは死刑には反対。

ただし死刑を望む場合はまた別かもしれない。

 

太古に人は

神に生贄を捧げたけれど、

それほど人間は罪深い生きものなのだろうか。

わたしにはそうは思えないのだけれど。

 

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