佐賀町日記

林ひとみ

2024年はじまり

あけましておめでとうございます。

 

令和6年、甲辰/きのえたつの2024年は、

数え方を変えると、

皇紀2684年、昭和は99年、平成は36年、

なのだそう。

思えば、キリスト教徒でないのに、

エスの誕生を基点とする西暦を、

普段使いしているのだから不思議。

西洋文明が世界展開しているとしても、

世界地図でみたら、

ごく一部の地域の文化だということを、覚えていたい。

西洋以外の、

大多数の文化文明も大切にしたい。

 

日本では、元旦に北陸能登で大きな地震が、

翌2日には羽田空港で飛行機の追突事故があり、

亡くなられた方が少なくなかった。

テレビがないのでタイムラグがあったけれど、

心の揺さぶられる、激動の年明けだった。

 

元旦の夕方、江東区も少し揺れて、

窓辺のウィンドチャイムがふたつ、

くじらの形のと、ユニコーンの形のとが、

窓をあけていないのに、風もないのに、

それぞれ違う音色で、同時に鳴った。

立っていた私は、その大きな音で、

地震に気づいた。

 

ほとんどを家で静かに過ごしたお正月、

オスカー・ワイルドの全集第4巻を、

Webの古書店でみつけて購入した。

日本では「藝術論」と呼ばれる作品集だけれど、

原題「Intentions」の直訳に近い

「意向集」のほうが私はすきだ。

絶版で、図書館で借りて写筆していたけれど、

右手が痛くなってしまい捗らず、

やっと手元に安心して読めると思うとうれしい。

古典的な対話篇の形式ではあるけれど、

この人ならではの、めっぽう面白い論調で、

すんなりとは読めない、知恵比べのよう。

色鉛筆でたくさん線をひきながら。

古書は定価の3倍になっていて、

著者にとっては名誉なことと思う。

戦前に訳されはじめたということもあり、

邦訳がいささか古めかしいので、

新訳がでることを心待ちにして。

 

そんな西洋の精華を享受しつつ、

東洋あるいは日本のよいところと、

ハイブリッドしたいと思う年頭。

 

みんなにとって

よい一年になりますように。