佐賀町日記

林ひとみ

師走の和太鼓

あたたかい12月。

二十四節気の大雪にあたる日に、

門前仲町の富岡区民館に、

江東区長選のための、期日前投票に行った。

 

今年の4月に行われた選挙で、

はじめての女性区長が誕生して、

明るい雰囲気になったと思ったのも束の間、

公職選挙法の違反があったそうで、

7か月くらいで辞職となってしまった。

インターネットの有料広告がNGだということを

知らずに、選挙活動してしまったらしい。

 

そんなことで改めての区長選。

投票日の3日前にようやく届いた選挙公報

よくよく読んで、5人の候補者のなかから1人を選ぶ。

みんなそれぞれ良いところがあるから迷う。

みんなのために大役を担ってくれて、ありがとう。

ボールペンでお名前を書いて、投票箱へ。

選挙が公正に行われますように。

 

その帰り道、深川不動の前を通りかかると、

太鼓とお経の大きな音がきこえてきて、

誘われるように本堂へ。

ちょうど15時の護摩祈祷の時間だったらしく、

参列者にまじって、座ってみる。

面白いといっては不謹慎だけれど、

でもものすごく面白かった。

太鼓、法螺貝、読経を、7人ほどで分担していて、

その中心で真紅の炎が猛って、美しく。

ご本尊が不動明王だからか、

悪は許すまじ、とでもいうように、

太鼓や祈祷は男前でなかなか激しい。

その律動の気持ちよいこと。

法螺貝の音色の妙。

あっという間の半時間。

その日わたしはお月さまで、

お腹に鈍痛を感じていたのだけれど、

帰り道、嘘みたいに痛みが消えていて、

びっくり。なんの力だろう。

 

太鼓といえば、12月にはいってすぐ、

友人と一緒に和太鼓の舞台公演を観た。

葛飾区で25年にわたって活動している、

若い人たちの和太鼓集団で、

小さい太鼓、中くらいの太鼓、大太鼓に、

篠笛や鳴り物、舞踊もあり、賑やかなこと。

お祭りやイベントで活躍されているそうで、

みんな元気で明るくみえて、曲も現代的で。

とくに男っぽい女性がかっこいい。

左耳が過敏な私は、大きい音が得意ではないので、

耳栓をつけて、それでやっと聴けるくらいの、

ものすごい響きだった。

全員で叩いたときの迫力といったら、

つくづくプリミティブな楽器だなと思う。

 

空気があるから、音がきこえる。

だから宇宙には音がない、のかな。

そんなことを想う師走の半ばです。

 

宇宙人にきつと鼓膜はない冴ゆる   ひとみ

 

 

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