佐賀町日記

林ひとみ

図書館 湿度 のど

3度目の緊急事態宣言が発令された4月25日。

東京・京都・大坂・兵庫の4県に、

幅広い休業と時短営業、酒類の無提供、無観客開催など、

人の流れをとめることを目的とした措置が要請された。

1度目よりは緩い、2度目よりは強い制限だ。

さいわい図書館は開館していたので、

資料をうけとりに行く。

予約資料の貸出返却のみで、

館内閲覧はできないように立入禁止になっていた。

人のいない図書館はひんやりしている。

 

天気のよい日曜日、みんな行くところがないので、

清澄公園のそこかしこにシートやテントが広がっている。

ひと足早い連休の雰囲気で、

それは一見とても健全な光景にみえる。

みどりはよい香りで、木陰は心地よく、

子どもの声もしゃぼん玉もボールもはしゃぎまわっている。

ちがうのはみんながマスクをしていることくらい。

 

ここのところ空気が乾燥していて、

冬季よりも湿度の低い日がつづいている。

20~30%台の日が多く、

ある日はLL%という表示をはじめてみた。

これは湿度20%未満で測定不能ということらしい。

加湿器は24時間稼働しているけれど、

気候がよいので窓を開け放っていること、

風の強い日が多いことと関係しているのかもしれない。

ベランダの巨大ななわしろぐみの鉢植えが、

ばったんばったんと風に倒されてしまう。

日に2度も3度も抱き起して、

まるで神話のシーシュフォスの岩のよう。

 

歌の練習をしていると、

湿度が低いことが思いのほか堪える。

なんとなく声が滑らかにでていかないような、

すぐに喉が渇くような具合で、うたいにくい。

とくに利尿作用のある珈琲やお茶をよく飲んだ日は、

とりわけそう。

声がでにくいと力んでしまいがちになるので、

よくよく気をつけて練習をすすめてみる。

ここのところ発声について大きな気づきがあった。

何年も勉強しているのに、いまさらだけれど

ファルセットがうまく使えていないことがわかったのだ。

もしかすると初めのころは無意識に使えていたけれど、

どこかの段階で大きな声や強い声を探しはじめて、

次第に過緊張性の歌い方になってしまったのかもしれないし、

そういうわけでもないかもしれない、わからない。

声帯がよい加減にリラックスしている状態ではないので、

音が硬かったり、レガートや弱声ができなかったり、

声帯を伸ばしきれていないので喚声もうまくいかない。

また低声や中声で、

胸声というより地声が働いてしまうのも、

ファルセットが足りないからなのかもと思いあたった。

のどの基本的なフォームや使い方について、

またひとつ理解を深めることができてよかった。

 

緊急事態宣言中の連休を、

有意義に、楽しくすごせますように。