佐賀町日記

林ひとみ

2016-01-01から1年間の記事一覧

演奏会 CANTUS ANIMAE The 20th Concert

混声合唱団Cantus Animae/カントゥス アニメの 第20回演奏会を第一生命ホールで聴いた。 Cantus Animaeの51人のステージは、 数年前に他界した作曲家/三善晃の作品と、 20回という節目の演奏会のために委嘱された 若手の作曲家3名の作品とで構成され、 20世…

本 ピエール・リヴィエールの犯罪 狂気と理性 | ミッシェル・フーコー編著

コレージュ・ド・フランス/国立特別高等教育機関における 哲学者ミッシェル・フーコー率いるゼミナールの共同研究書である、 「ピエール・リヴィエールの犯罪 狂気と理性」を読んだ。 オリジナルは1973年にガリマール出版社より、 邦訳は1975年に河出書房新…

本 ジャンヌ・ダルク復権裁判 | R・ペルヌー編著 高山一彦訳

中世史学者であり、ジャンヌ・ダルク研究における第一人者である、 今は亡きレジーヌ・ペルヌー編著による 「ジャンヌ・ダルク復権裁判」を読んだ。 原書は若かりし頃の女史が編纂し、 1953年にフランスで出版されたものだが、 時を経て、高山一彦氏により日…

本 ジャンヌ・ダルク処刑裁判 | 高山一彦編訳

フランス史におけるジャンヌ・ダルク研究者である、 高山一彦による編訳の「ジャンヌ・ダルク処刑裁判」を読んだ。 1971年に現代思潮社より初版刊行、 1984年に大幅な改訂版が白水社より、 2002年には「ジャンヌ・ダルク復権裁判」の訳書とともに、 新装版と…

映画 ロベール・ブレッソン | ジャンヌ・ダルク裁判

ロベール・ブレッソンの「ジャンヌ・ダルク裁判」を観た。 監督にとっては中期にあたる、1961年に撮影された、 フランスの聖女についての、61分のモノクロの作品だ。 ジャンヌ・ダルクは、 フランス国内およびイギリスにまたがり、 およそ116年ものあいだ争…

さくら

ベランダのさくらが開花した。 7年前の春に、花屋でみつけた枝ものの桜を、 植木鉢に挿し木した、小ぶりの樹木だ。 種名を啓翁桜/けいおうざくらといい、 毎年、淡いピンク色の花を楽しませてくれる。 啓翁桜は、 山形県の特産品として栽培されているが、 …

絹のコーヒーフィルター

絹のコーヒーフィルターで淹れたコーヒーが とても美味しかった。 家でドリップする際に、 紙のフィルターをきらしてしまったので、 代用できるものはと画策し、 はぎれのシルクで裁縫したのがきっかけだ。 ネル/フランネルや、ケナフなど、 フィルターによ…

展示 みなでつくる方法 吉阪隆正+U研究所の建築

みなでつくる方法 吉阪隆正+U研究所の建築展を、 湯島の国立近現代建築資料館で観た。 吉阪隆正/よしざかたかまさは、 1917年東京生まれの建築家で、 その多岐にわたる活動から、 登山家や冒険家や思想家ともいえるだろう。 早稲田大学理工学部建築学科で…

春やさい

先日、春野菜の天ぷらを食べた。 旬をむかえた、 うど、菜の花、たらの芽、ふきのとう、新玉ねぎには、 独特の香りと苦みがあり、 今の時期ならではの、春の味わいだ。 季節のおくりものは なんてすばらしいのだろう。 土のなかで越冬した春野菜には、 アク…

映画 ルキノ・ヴィスコンティ | 若者のすべて

ルキノ・ヴィスコンティの「若者のすべて」を観た。 1960年制作の本作は、 長編全14作のうち、6本目の監督作品だ。 ジョバンニ・テストーリの短編「ギゾルファ橋」を原案に、 常連のスーゾ・チェッキ・ダミーコ等と共に脚色したという、 イタリア南部の農村…

映画 ロッセリーニ | インディア

ロベルト・ロッセリーニの「INDIA Matri Bhumi」を観た。 「インド 母なる大地」だ。 1958年制作の本作は、インドを題材とした、 新聞の三面記事から着想を得たといわれる、 4つのエピソードで構成されている。 プロローグは大都市ボンベイ/現ムンバイの お…

チャイ

今年の冬は、チャイをつくってよく飲んだ。 紅茶に、数種類のスパイス、 クローブ、カルダモン、シナモン、ジンジャー、ペッパー に、 ローズヒップやレモングラスなどをその日の気分で加えて、 牛乳/豆乳とあわせて煮出す。 からだが温まり、ほっとする。 …

電力自由化

2016年4月から、電力の自由化がはじまる。 自由という言葉のもつ響きは、 なんて清々しいのだろう。 今までは選択する余地がなかったので、 お任せで、見方によっては楽でもあったが、 4月からはどうしようかと、 迷える幸せにあずかっている。 わたしたちひ…

本 岡本太郎 | 沖縄文化論

岡本太郎の「沖縄文化論 忘れられた日本」を読んだ。 多岐にわたり創作をくりひろげた芸術家が、 1960年に雑誌「中央公論」に連載した作品だ。 氏がはじめて沖縄を訪れたのは、 アメリカ統治下にあった1959年秋のおよそ半月で、 ひとつの恋といえるほど、沖…

小浜島の朝

数日滞在した、 沖縄・八重山諸島の小浜島。 7時21分の日の出にあわせて、 浜辺へむかう。 暗闇から、すこしづつ、ぼんやりと、 世界が浮かびあがってくる様は、神秘的だ。 朝やけの桃色と緋色の光が、 刻々とひろがり、変幻する。 時間を忘れるようなひとと…

八重山諸島 小浜島

沖縄県・八重山諸島の小浜島に、数日間滞在した。 八重山諸島は、沖縄本島から南西に約400km、 飛行機で約1時間の距離にある、 いくつもの有人・無人島からなる列島だ。 比較的大きな西表島や石垣島から、 竹富、小浜、新城、鳩間、黒島、 有人島では最南端…

映画 イヴ・サンローラン

ピエール・トレトン監督によるドキュメンタリー、 「イヴ・サンローラン/Yves Saint Laurent - Pierre Berge , L'amour Fou」を観た。 2008年にサンローラン氏が逝去してから、 その実像にせまる映画が3本制作されている。 2010年の本作と、 2014年の「イヴ…

朝のジュース

毎朝、 お野菜と果物のミックスジュースを飲む習慣が、 ここ2年半ほど続いている。 見よう見まねでつくりはじめたが、 定番になっている食材は、 小松菜・セロリ・レタス・人参・りんご・みかん。 時期や在庫によって、 りんごが梨や柿に、みかんがレモンや…

展示 石黒宗麿のすべて

「石黒宗麿のすべて」を松涛美術館で観た。 石黒宗麿/いしぐろむねまろは 1893年に富山県に生まれ、 25歳で耀変天目茶碗に魅せられて陶芸を志し、 1955年に鉄釉陶器で人間国宝に認定された陶芸家だ。 特定の師にはつかず、 35歳で古陶磁研究者の小山富士夫…

映画 エミール・クストリッツァ | UNDERGROUND

エミール・クストリッツァの「アンダグーラウンド」を観た。 1995年に制作された長編5作目にあたる本作は、 集大成のような、ベスト盤のような映画だと、 監督は語っている。 物語は、 ふたりの男の間に交わされた友情と裏切りや、 人々を騙し利用しつづけた…

戸田奈津子 | 午前十時の映画祭

「第三回 新・午前十時の映画祭」のチラシをみつけた。 「午前十時の映画祭」は、 名作・傑作を1年間にわたり週替わりで午前十時に上映する、 映画演劇文化協会主催の映画祭だ。 2010年より開催され、今回で通算6回を数えるそうだ。 上映館を拡大しつつ6年継…

映画 ルキノ・ヴィスコンティ | 白夜

ルキノ・ヴィスコンティの「白夜」を観た。 1957年に制作された、監督5本目の作品だ。 ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーが、 1848年・27歳のころに書いた、同名の中編小説を原作とした、 数夜のはかない恋物語。 孤独で夢想家のマリオ/マルチェロ…

合唱 表現する

混声の合唱団に所属し、 週1回の練習に参加している。 ある楽曲に取り組んでいるときに若い作曲家から、 絶望して斜に構えている心情を表現してください、 といわれた。 共感できないものを表現するときは、 どうしたらいいのだろう。 この場合、心理的に、 …

映画 カール・Th・ドライヤー | Ordet

カール・Th・ドライヤーの「Ordet」を観た。 1979年日本公開時につけられた邦題は「奇跡」だが、 デンマーク語の原題「Ordet」は、 ギリシャ語「Logos」に相当する、 神の御言葉、というニュアンスであるようだ。 映画監督カール・Th・ドライヤーの、 全14本…

本 木山捷平 | 白兎 苦いお茶 無門庵

人の世に、 小説家の数だけ、 種々様々な小説がある。 そう短くも長くもない人生のうちに、 すべてを読むことはできないだろうし、 またその必要もないだろう。 すると、 いつ、なにを、読むかということになる。 そういうとき、 呼んでいるような、呼ばれて…

ボイジャー

無人惑星探査機ボイジャーの旅立ちにあたり、 1977年6月、当時のカーター米大統領が発表した、 公式コメントのなかの一文。 「われわれはいつの日にか、現在直面している課題を解消し、 銀河文明の一員となることを期待する。」 未知の文明は、銀河のどこか…

たとえば

しょんぼり元気がないときは ボイジャーにのって宇宙を旅している、 ゴールデンレコードのことを考える。 未知の生命体への、地球からのメッセージ。 画像116枚・言語55種・音楽27曲・サウンド21音が、 冒険をつづけている。 なかでも、とくにすきなのは、 …

セバスチャン・サルガド | THE SALT OF THE EARTH

書き初めにならい、 映画初めに、昨夏公開された 「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」を、 早稲田松竹で観た。 監督はヴィム・ヴェンダースと、サルガドのご子息、 ジュリアーノ・リベイロ・サルガドとの共同作品。 1944年ブラジル生まれのフォト…

佐賀町日記

2016年になりました。 ふと文章を書きたくなりました。 東京江東区の佐賀町に住んでいます。 かつて一帯は海岸の干潟であったそうですが、 埋立地として開発され、1695年/元禄8年には、 その地形が肥前の佐賀湊に似ていることから、 佐賀町と命名されたとい…