佐賀町日記

林ひとみ

立春 2020

今日は立春

こよみのうえでは春になりました。

 

今季の冬はそうじて暖かかった。

ちいさな雪も降ったし、

きゅうぅと凍えるように寒い日も

数日はあったが、連日とはならず、

まだこれからあるかもしれないけれど、

ずいぶんと過ごしやすい冬だった。

 

空気の乾燥もまだ強いけれど、

空には水分をふくんだ春の雲がひろがっている。

季節はゆっくりと、音をたてずに動いている。

身体も、すこしずつ春使用にひらいてゆく。

 

そんな季節の変わり目に、

先日、ひさしぶりにマッサージをうけた。

風のものすごい強い日で、帽子をおさえ、

くの字になりながら東京の北東部へ向かった。

同年代の友人が自宅で施術するマッサージは、

どこのそれとも違う、

独自のやりかたを確立していて、とても興味深い。

常に進化中・勉強中ということだったが、

古典から最新にいたる種々のメソッドを消化した

オリジナルという印象だ。

技術的な詳細はわからないけれど、

主に筋膜と頭蓋骨に働きかけるような、

最小の力とポイントを用いて、

最大の効果をひきだすような治療で、しごく繊細。

便宜上マッサージという言葉を用いているけれど、

それを表現するちょうどよい言葉がみあたらない

不思議な施術で、どこかスピリチュアルでもある。

はじめにその人の治療のブループリントをイメージして

施術を組み立てるとのことで、

 

料金は一律、時間は規定ではなく、

その日のわたしの施術は約4時間だった。

超時間の世界にたゆたふ感覚だ。

 

その日わたしは、

とくに首と胸郭と腕を調整してもらったようで、

なかでも左側がねじれていたという。

自覚症状はなかったけれど、

胸郭が内側にはいりこんでつぶれ気味で、

呼吸が浅くなっていたこと、

首が硬くくしゃくしゃっとなっていて、

後頭蓋の位置もずれていたそうだ。

チャクラでいうと、胸と喉の一部分が閉じていたので、

開いておいたよ、とのことだった。

施術がおわって立ち上がると、

背が伸びたような感覚。

見ている目の位置も、声のでる位置も、すこし違う。

胸がひらいて肩がおさまって、首も頭も軽い。

曰く、それが本来の自然の状態だから、

その状態を脳が覚えて整ってくれるように、

2週間くらいかけて効果が定着するから、

楽しみに変化をみていてね、ということだった。

 

その日の夜、就寝中に地震があった。

夢うつつのなか、あたかも私自身の身体に

地殻変動が起こったように感じられ、印象深かった。

 

 

その後数日を経て、

はじめは慣れずにどこかそわそわしていた身体の感覚が、

気持ちよさ心地よさに変わったきた。

 

そして今日、立春を迎えて、

わけもなくなんだかとてもうれしい。

とくになんという理由もないのに、

勝手といえば勝手だが、

祝福されているように感じるのだ。

 

またひとつの新しいスタート、

より自分らしくなった新しい身体で、

元気でいろいろな経験を楽しめますように。

 

友人に感謝をこめて。