佐賀町日記

林ひとみ

七夕 2020

今日は7月7日の七夕だ。

朝から厚い雲に覆われて、雨まじりの強い風が吹いている。

集合住宅の6階は地上とくらべると風の強さがひときわで、

ベランダの植物は次々となぎ倒されてしまった。

ここのところ2日おきくらいに倒れているけれど、

雨風のこの激しさはなんだろう。

 

北海道に梅雨はなく、

東日本の梅雨は陰性のしとしと雨に、

西日本の梅雨は陽性のざーざー雨になりやすいと聞いたが、

ここ数日、九州では豪雨が続き、河川の氾濫や土砂崩れなどの

大きな被害がでているという。

日本は何かと自然災害が起きやすい国だが、

その規模や頻度が年々増すように感じられるのは、

やはり地球温暖化の影響があるのだろうか。

雨が降る場所にますます雨が降り、

乾いている場所はますます乾く。

たびたび目にする原理だ。

 

東京都の知事選が7月5日にあった。

思いもよらぬCOVID-19のパンデミックで、

2020年の上半期は強烈だった。

物事がうまくいっているときは必要性を感じなくても、

困難のなかで政治はきわめて重要になる。

だからもうすこし投票率が上がるかと思ったが、

そうでもなく55%、だいたいふたりにひとり、

572万人の民意で、現職の小池ゆり子氏の続投が決まった。

ひとりにひとつの貴重な1票、

わたしはもれなく期日前投票を利用した。

鉛筆で記入することに疑問があるので、

油性のボールペンを持参。

常識的な人はきっと小池さんに投票するだろう、

そして小池さんが続投することになるだろう、

と思えたので、小池さんではない人に投票した。

票が集中することがあまりすきでないことや、

目立ちにくいけれどやるべきことをやってきた人を

応援したいことも理由のひとつだ。

オンラインの討論会・政見放送・街頭演説をYouTubeで観て、

この人に都知事をやってほしい、というよりも、

今この人に都知事をやらせてあげたい、と思った人に票を託した。

現在の常識の範囲内ではもの足りない、

それ以上のなにかを、わたしは期待してしまう。

 

東京の新規感染者数は再び増加、

100人超が5日続いている。

  はやり病をわりのはじめ五月尽

と五月末に詠んだ句の季語がこれでは動いてしまうし、

そもそも「をわりのはじめ」ではなかったようだ。

 

いつもなら今頃、笹の葉や短冊をあちこちで見かけたし、

願い事を記す筆記台もあったが、今年はどこにもなかった。

ウィルスを警戒してのことだろう。

そういえば上半期の汚れを祓う6月末の夏越の祓えも、

茅の輪くぐりをする間もなく過ぎてしまった。

願い事もお祓いも、いつもより必要としているはずなのだが。

 

空に薄日が差してきた。

今日、織姫と彦星は会えるだろうか。

もし悪天気ならオンラインで会えばいい。

もちろん実際に会うことにはかなうまいが、

ひとつのリアリティーであることは確かなのだ。

オンラインやリモート率が高くなり、

手首に疲労を感じるこの頃です。