夜中
空気洗浄機が歌を唄っていた
平和を愛する人間以外は
滅ぼしてしまえ!
あまりにも人間的な
なぜって そう
空気洗浄機は人間がうみだしたのだもの
力への愛だったのか
愛の力だったのか
人々はそれぞれに
意識と無意識で満たされている
健全なものが好きといって
サルバトーレ・シャリーノを聴く
さっぱりしたものが食べたいといって
カツカレーを食べる
理想を語り
戦争を始める
人間がすこし
わかったような気がした
ある日の朝
大気圏にまもられて
息をしている
自由 喜び あくび
人間が
大気圏をつくれるようになって
火星に棲むのは
いつのことだったかしら
詩集「おくりもの」2017年より