寒い時期には、個性豊かな各種の
新鮮な酒粕が手に入りやすいので、うれしい。
たとえば、鍋ものやスープに加えると、
なんとも味わいに奥行きがますようだし、
ご飯を炊くときに加えると、
つややかにふっくらと、
ほんのり甘く炊き上がるので、不思議だ。
また板状のものは、素焼きをして、
塩とオイルをかけてクラッカーのように食べたり、
クリーム状のものは、
チーズと同様にパスタやリゾットに絡めて食べたりと、
様々にアレンジできるのも楽しい。
今年ははじめて、
思いのほか簡単で美味しかったので、定番になりそうだ。
酒種酵母は、
酒粕:小麦粉または冷ご飯:水を、
割合1:1:2で混ぜ合わせ、3~7日間発酵させておこす。
酒粕が新鮮であるほど、
元気よくぷくぷくと、スムーズに泡立つので、
目には見えない微生物の営みを、
目のあたりにするようで感動的だ。
そのようにおこした酒種酵母120gと、
小麦粉300g、水100cc、塩小さじ1を合わせてしばらく捏ね、
艶がでてきたらクッキングシートのうえにひとまとめして、
蓋をした鍋のなかで半日ほど発酵させ、
およそ2倍に膨らんだら、加熱して出来上がりだ。
家にオーブンがないので、ホーロー鍋で30分ほど焼いたり、
もちもちにしたいときは20分ほど蒸して、調理している。
成形も二次発酵も省略した
どっしりとした素朴なパンだが、
夜寝ているあいだに発酵させて、翌日に火を入れると
2~3人分の朝食や昼食にちょうどよく、
素材の小麦や酒粕が味わい深いので、
オリーヴオイルと塩を添えて
シンプルに食べるのが気に入っている。
なんて魅力的な副産物なのだろう。
酒を花に、粕を果実に、喩える蔵もあるそうだ。
節分を明日、
立春を明後日に控え、
豆まきや恵方巻などで縁起をかつぐように、
2017年の2月2日だった。