2017-06-06 詩 びわ 詩 子どものころ 住んでいた家の庭に びわの樹があった ごつごつとした幹は のぼるのにちょうどよく ごわごわとした葉は ままごとの器になった 春と夏のはざまに結ばれる 小さくも たわわな果実は 鳥たちが ほとんどついばんでしまうのだけれど ときには ひとつかふたつ 口にして 知ったのだ とりつくろうことのない こびることのない 淡い橙色の 野生の味を