詩 びわ

子どものころ

住んでいた家の庭に

びわの樹があった

 

ごつごつとした幹は

のぼるにちょうどよく

 

ごわごわとした葉は

ままごとの器になった

 

春と夏のはざまに結ばれる

小さくも

たわわな果実は

 

鳥たちが

ほとんどついばんでしまうのだけれど

 

ときには

ひとつかふたつ

口にして

 

知ったのだ

 

とりつくろうことのない

こびることのない

 

淡い橙色の

野生の味を