佐賀町日記

林ひとみ

詩 すもも

空をわたる

地面に映った

鳥の陰

 

歌を唄う

遠くから届いた

鳥の声

 

陰影を手がかりに

存在を識る

 

マグリットの絵でもなければ

芝生にひろがる陽だまりは

雲のかたちをなぞるのが自然さ

 

つまり思想とは

能力のことだよ

 

と君はいった

 

雲ひとつない

青空を見上げて

 

まるで美味しそうに

すっぱいすももを

ほおばりながら