佐賀町日記

林ひとみ

チャイ

今年の冬は、チャイをつくってよく飲んだ。

 

紅茶に、数種類のスパイス、

クローブ、カルダモン、シナモン、ジンジャー、ペッパー に、

ローズヒップレモングラスなどをその日の気分で加えて、

牛乳/豆乳とあわせて煮出す。

 

からだが温まり、ほっとする。

 

 

チャイは、インドの植民地時代に、

イギリスへ輸出するために生産された紅茶の、

残りの細かい茶葉を利用して作られたのが、はじまりという。

 

チャイはお茶、マサラはスパイスをさし、

スパイスいりのミルクティーは、

正確にはマサラチャイというそうだ。

 

逆境のなかで、

人々の生活の場からうまれた飲み物は、

時代や国境を越えて、ひろく愛飲されている。

暦では立春をすぎ、

すこしずつ春の気配を感じるこのごろも、

まだ名残おしい冬のチャイにつつまれている。