佐賀町日記

林ひとみ

マイナンバー がんばる

総務省の発行するマイナンバーカード。

ひとりにひとつのIDカードだけれど、

2015年に番号通知のカードが届いて以来、

特に必要性を感じなかったので、そのままになっていた。

 

新型コロナウィルスのための

ひとり10万円の特別支援給付金のIT申請では、

マイナンバーカードがほとんど機能しなかったというから、

お役所は大丈夫なのかと心配になったもの。

 

人によっては、

国による個人情報の管理に抵抗があるという意見もあり、

それは最もだと思うし、議論は必要だと思う。

とはいえ、うまく使えば合理的だし、

よい意味での透明性もあるので、

政府によるIT化は今後よりいっそう進むだろう。

現行の健康保険証や運転免許証も

そのうちマイナンバーカードに統合されるというから、

大きな時代の流れを信じるしかない。

管理と思えば管理だし、

サポートと思えればサポートにもなり得る制度で、

もし問題があるとすれば、

みんながうまく使えるかどうかだ。

 

そう見極めて、

せっかくのマイナポイント制度を活用すべく、

WEB上で申込みをしたのが、6月上旬だった。

数週間後、証明写真に不具合があったというメールが届き、

写真を差し替えて再申請し、待つこと3か月。

忘れたころ、9月上旬に葉書が届き、

江東区役所での受取日の予約をして、

受け取ることができたのは9月中旬だった。

来年3月末までのポイント制度を

国民のほとんどが利用していないと新聞で読んだが、

利用するもしないも、カードをつくるのに、

3か月以上かかるのだから、実情はわからない。

 

区役所からの帰宅後さっそく、

「これがマイナンバーカード!」と同居人に見せると、

一瞥して「行政のデザインはなんて野暮ったいのだろう」と

がっかりして、「ぜんぜん持ちたくない」といっていた。

確かに、変なうさぎのキャラクターが入っていたり、

写真のトリミングがぼわんとしていたり、

カードの色もあまり必然性があるとは思えないうす桃色で、

洗練されているとは言い難い。

そういう観点でものを考える人がいないのだろうか。

フォーマットをそうそう変えることはできないだろうし、

せっかくの身分証明証なのだから、

もうすこし気のきいたカードにしてくれたらうれしかった。

ごくシンプルだけれども、偽造できないような、

そういう技術があるといいと思った。

 

9月14日に自民党総裁選があり、

首相が安倍氏から菅氏へバトンタッチされた。

第99代目の首相になるという。

直前に行われたふたつの討論会をYouTubeで観て、

わたしは石破氏か岸田氏がよいと思ったので、

今後に期待したい。 

すべての国会議員の方にあてはまるかはわからないけれど、

議員の方々はほんとうによく働いておられると思う。

首相になった菅さんも

「わたしたちは一生懸命頑張っています」と言っておられた。

嘘はないと思う。でも、飛躍になるが、

日本はほんとうによく頑張って太平洋戦争をしたのだ。

時の東條首相しかり、陸海軍の大臣しかり、

みんな死に物狂いで頑張った戦争だった。

頑張ることそのものは素晴らしいことだが、

変な方向に頑張ることのないように、

くれぐれも慎重に舵取りをしていただきたい。

 

「政治はみんなが一緒に生きる道ですから、

 いちばん大事な問題でー」

と、対談で語ったのは小林秀雄氏。

 /新潮社「人間の建設」岡潔 × 小林秀雄

 

マイナンバーではないけれど、

私たちのほうでも、しっかりと、

国に対して管理だかサポートだか協力だかを、

していきたいと思う、秋分の日であった。