佐賀町日記

林ひとみ

バラの花

4月に挿し木したばかりの

バラの樹に、一輪の花が咲いた。

 

まだ背丈も30㎝にならないくらいの

子どもの樹だと思っていたので、

つぼみができて、ふくらんで、

日々すこしずつひらいていく様子に、

ほんとうにびっくりした。

 

昨年11月に切り花でいただいた時と同じく、

花は華やかな深紅色だ。

ベランダの鉢植えたちの緑色のグラデーションのなかで、

紅一点、よく映えている。

ところがその形、切り花のときは手毬のようにまあるい

ボリュームのある八重の花だったのだけれど、

心機一転あらめて咲いたのは、

8枚の花びらが一重にひろがる、お星さまような形。

肥料をあげていないせいなのか、

本来はそういう形だったのか、

野生にかえって、人の意向を気にしないで、

すきに咲いているというふうで清らか。

 

もしバラが言葉を話せたら、なんていうだろう。

「切られて、運ばれて、植えられて、

 どうなることかと思ったけど、

 今のこの場所なかなか気に入ってるんだ。

 生きてるって、すごく楽しいね!」かな。

 

今日はちょうど秋分の節日だ。

バラの種名がわからないので、 たとえば

「Autumnal Equinox Rose/秋分のバラ」

と名付けてみよう。

気に入ってくれるかな。

 


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