佐賀町日記

林ひとみ

りんご

今年もりんごの季節がやってきた。

 

毎年12月に入るころ、

群馬の月夜野から収穫したてのりんごが届く。

箱をあけると甘酸っぱいなんともよい香りだ。

今年は9月の長雨の影響で、

形がいびつであったり、色づきが不安定であったり、

ところどころ傷ついたりしているが、

味はいつもと同じようにとても美味しかった。

 

できるだけ自然に栽培されたりんごたちの

厳しい自然条件をくぐりぬけた健気な姿に、

むしろ愛おしさはひとしおだ。

 

フレッシュなりんごを楽しみつつ、 

春頃から使用しているソーラークッカー/エコ作で

焼きりんごにすると、甘みと酸味が凝縮されて際立ち、

とびきり美味しく、また感動的だった。

冬の低い太陽高度でも、よく晴れていれば2時間ほどで調理でき、

りんごの他にもお芋類やスープ類、

すこし時間はかかるがお豆類などが、ほくほくに出来あがる。

12月の東京の安定した冬晴れは、

ソーラークッカー日和ともいえそうだ。 

 

りんごは、アダムとイヴの創世記の頃から、

現代ではApple社のシンボルマークに引用されているように、

どこか神話的で象徴的な果実だ。

赤いりんごを食べながら、

いまここに生きていること、

行く2016年と来る2017年のことを想う、12月だった。