佐賀町日記

林ひとみ

詩 イカロス

私が私の怒りを表現したいとき

私はそれに相応しい場所にいた

 

私が私の哀しみを表現したいとき

私が私の喜びを表現したいとき

 

私はそれぞれに相応しい場所にいた

 

因果は同時に存在している

けれど地上では

すこし時差があるようにみえている

 

太陽の光は8分18秒で地球に届く

 

私たちがより敏感に

今何を信じているのかを明らかにすれば

未来はみえる

 

進化にも

光と影があるのは

万物の法則のようなもの

 

人間の歴史がはじまってから

 

私たちが獲得したもの

私たちが失ったもの

 

人間の歴史の外で

 

受け継がれたもの

変容を遂げたもの

 

羽ばたいたイカロスは

 

太陽に焼かれたというよりは

己の情熱に焼かれたというほうが

正確なのかもしれない

 

そして未来は

今わたしたちの内にある