佐賀町日記

林ひとみ

かぼす

9月の終わりに

大分から箱いっぱいのかぼすが届いた。

 

毎年、ポン酢や豆乳マヨネーズやドレッシングに、

マリネやミックスジュースやパスタにと大活躍しているが、

今年はじめて、はちみつ漬けを作った。

 

よく洗浄し、薄くスライスしたかぼずに

はちみつを注ぎ、漬けおくというシンプルな作り方だが、

1週間後には皮や種まで美味しく食べることができた。

かぼすにはビタミンCやクエン酸が豊富ということなので、

冬特有の乾燥や風邪の予防にもぴったりだ。

 

また、エキスを絞った後のかぼすを

湯船にうかべて入浴するのも楽しみのひとつだ。

柑橘類のさわやかな香りと、

皮に含まれる天然のオイル、橙皮油/とうひゆが肌に心地よい。

 

ささやかな、秋の夜長の楽しみだ。

 

たとえば、人が生きるということは

ありふれた些細なことの集積でもあるのだろう。