六等星 

7月10日は参議院選挙の投票日だ。

選挙公報に目を通すものの、考えがまとまらない。

 

無性に、

手塚治虫の晩年の傑作「ブラックジャック」シリーズの

短編漫画「六等星」を読み返したくなった。

 

 

ある夏の夜、

ブラックジャックピノコが花火大会を観覧していると

地上で花火が爆発する事故が起こり負傷者がでる。

その帰り道に、夜空を見上げたふたりの上には、

一等星から六等星までいくつもの星が瞬いていたが、

かすかに輝く六等星にさそわれるように

ある映えない医師・椎竹/しいたけ先生の挿話が語られる。

病院の院長が急死した真中病院では、新たな院長の座をめぐり、

山崎豊子白い巨塔のような駆け引きが繰り広げられていたが、

控えめで目立たないが人のいいベテラン医師・椎竹先生は、

じっとだまって事の成り行きを見守っていた。

やがて院長選のための汚職が表沙汰になり、主だった医師達が逮捕されるなか、

冒頭の花火の誤爆事故による負傷者が運び込まれた病院では、

難しい手術を下働きばかり担当していた椎竹先生が執刀することになる。

思わぬ巡りあわせから実力を発揮する場に立ち合った椎竹先生は、

周囲の信頼を得て再評価されるだろうという余韻のうちに

物語は幕を閉じる。

 

 

星の等級は、

私たちの目に届く明るさによって定められているため、

実際の星のエネルギーと等しいとは限らない。

 

理想的な政治家に対するビジョンが不明瞭ななか、

ひとつのモデルとして、椎竹先生のような

目立たないが堅実で実務能力のある人物を思い浮かべた。

 

「先生はベテランだ!なぜもっと地位を望まないのですか?」

ブラックジャックに問われた椎竹先生は応答する。

「医者は欲が優先しちゃおしまいですよ」と。

 

思えば、戦後1945年までは

私たち国民に選挙権は等しくなかったのだから、

ほんとうに貴重な、ひとりにひとつの票だと思う。 

たとえ思うように実を結んでも、結ばなくても。

 

喜んで、期日前投票へ行こうと思う。