佐賀町日記

林ひとみ

広島と長崎

2016年5月27日夕方

伊勢志摩サミットのために来日していた

アメリカのオバマ大統領が広島を訪れスピーチを行った。

 

翌日の新聞には

その英語原文と日本語訳が掲載され、

日経、朝日、毎日の各紙の邦訳はそれぞれに魅力的で、

読み応えがあった。

 

歴史的に意義深い、

記憶に残るスピーチだったと感じた。

何度も読み返したくなる永久保存版のテキスト。

 

とくに印象に残った一文は、

We're not bound by genetic code to repeat the mistakes of the past.

We can learn. We can choose.

 

 遺伝情報のせいで、

 同じ過ちを繰り返してしまうと考えるべきではない。

 我々は過去から学び、選択できる。/日経 

 

 私たちは遺伝情報によって、

 過去の間違いを繰り返す運命を定められているわけではありません。

 私たちは学び、選ぶことができます。/朝日

 

 私たちは過去の失敗を繰り返すよう

 遺伝子で決められているわけではありません。

 私たちは学ぶことができます。選ぶことができます。 /毎日

 

 

どのようなときにも

私たちには選択する力を通して

自由と責任が与えられている。

 

スピーチのなかでも語られたように、

子供たちはいつの時代でも

純真さや未来を象徴するまぶしい存在だ。

すべての大人はかつて子供であったし、

あるいは大人になっても、

その小さな子供の自分とずっと一緒にいつづける、

というのが、わたしの実感だ。

 

ひょっとすると「小ささ」というのは、

ひとつの「力」の形態なのかもしれない。

たとえば音楽で、

ときに「p」がこの上ない表現であるように。

 

そういう小さな

ひとりひとりの希望を束ねたい。

 

広島と長崎は

無数の死者のたましいに

抱かれている聖地なのだと思った。