佐賀町日記

林ひとみ

絹のコーヒーフィルター

絹のコーヒーフィルターで淹れたコーヒーが

とても美味しかった。

 

家でドリップする際に、 

紙のフィルターをきらしてしまったので、

代用できるものはと画策し、

はぎれのシルクで裁縫したのがきっかけだ。

 

ネル/フランネルや、ケナフなど、

フィルターにより味が変わると聞いたことはあったが、

実際に体験して驚いた。

雑味がでにくいのか、ほんとうに美味しい。

 

感じ方には個人差も、

手製のものだから、ひいき目もあるだろうが、

洗って乾かし、何度も使用できることや、

ごみが減ることも、魅力的だ。

 

絹/シルクは、

蚕の繭からとれる動物性繊維で、

人の肌と同じたんぱく質から成るそうだ。

数年前に、

冬の乾燥による肌のかゆみに悩まされた際、

皮膚科医からシルクの肌着を薦められ着用すると、

ほどなく症状が改善したことを思い出した。

肌との摩擦がすくないということだった。

 

コーヒーは、

シルクのフィルターを通過するとき、

どのような作用を受け、あるいは受けずに、

美味しくドリップされるのだろう。

 

いにしえのシルクロードは、

その計り知れないポテンシャルを、

滔々/とうとうと語り伝えているかのようだ。