佐賀町日記

林ひとみ

春やさい

先日、春野菜の天ぷらを食べた。

 

旬をむかえた、

うど、菜の花、たらの芽、ふきのとう、新玉ねぎには、

独特の香りと苦みがあり、

今の時期ならではの、春の味わいだ。

季節のおくりものは

なんてすばらしいのだろう。

 

 

土のなかで越冬した春野菜には、

アクやクセを醸す個性的なインパクトとともに、

健気でしたたかな生命力を感じる。

また栄養学的にも、

時節に適った特徴をもっているようだ。

 

人はクマやリスのように冬眠することはないが、

動物たちと同じように代謝率がさがる冬季には、

脂質や老廃物を蓄積しやすいそうだ。

 

ヨーロッパでは春季療法という、

植物を用いた体質改善法があるそうだが、

春の訪れとともに活発になり、

代謝が高まってゆく身体に、

春野菜のもつ解毒・浄化作用は相乗的で、

理にかなっているということだ。

 

 

わたしたちは、四季をとおして、

身体が必要としているものを欲求し、

より美味しく感じられる感受性をもっている。

 

自然は、わたしたちの内外に存在し、

完璧にデザインされていると

知っているのだ。