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映画 セバスチャン・サルガド | THE SALT OF THE EARTH

書き初めにならい、映画初めに、

昨夏公開された、

セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」を、

早稲田松竹で観た。

 

監督は、ヴィム・ヴェンダースと、サルガドのご子息、

ジュリアーノ・リベイロ・サルガドの共同。

 

1944年ブラジル生まれのフォトグラファーの、

人生の軌跡を描いたドキュメンタリー。

少年のころの思い出から、

渡欧し天職と出合った経緯、結婚や家族のこと、

写真家としての過去の数々なプロジェクト、

絶望と再生、そして新たな展望などが描かれた、

壮大な110分。

 

フォトグラファーとは、ギリシャ語で、

光をかく人、という意味であるという。

 

アフリカにインスピレーションを得て、

起きていることを知ってほしいという動機から、

難民・貧困・病気・戦争・虐殺を撮りつづけるが、

数々の受賞とはうらはらに、人類への信頼を喪失。

やがて、環境破壊により荒廃した生家の土地に、

10年をかけ250万本を植樹し、

豊かな熱帯雨林をよみがえらせる。

そして、動物や風景を被写体に、

地球へのオマージュを撮りはじめた、サルガド氏。

 

受け継いだかつて農園であった土地は、

今では環境保護区として国立公園に指定され、

設立したインスティトゥート・テラでは、

自然の再生のために活動を継続しているという。

 

 

印象に残ったエピソードは、

くじらにであったときのこと。

30mちかくある、海に棲む最大の哺乳類は、

そばに寄っても、7mの船を転覆させることなく、

手でそのからだに触れると、尾で反応を示したという。

 

くじらはわたしたち人類にとても近い、

知的な存在のように感じる。

 

 

人間は地の塩だ、

と冒頭のモノローグで語られるが、

原題「THE SALT OF THE EARTH」が、

この映画を象徴していると確認した。

 

2016年のはじまりにふさわしい、

厳かで、深遠な、作品に出逢えてうれしい。