詩 ラピスラズリ

純粋さは 否定によって強化される 繊細すぎる君は 愛を忘れてしまう あなたを想う独りの時間を あなたに侵されたくない とうたっている 動物でも天使でもなく 無邪気な子供のやり方で 青い嵐をおこす わかっている 星の位置は そのうち変わる 思い出す 生ま…

深川のお不動さん

1月の終わりころ、ぎっくり腰を経験した。 朝起きしなに、物を取ろうと ほんのすこし前屈した瞬間に、激痛がはしった。 背中から腰にかけての鋭い痛みに、 しばらくの間、どうにもこうにも動けなかったが、 症状が落ちついてから、近所の整体院へ初診に伺う…

詩 オレンジ

オレンジ色に 塗られたオレンジ 忘れてしまう 忘れてしまったことさえも 忘れてしまう 小さな雪の 降る朝に オレンジ色のくちばしの 鳥が2羽 飛んできた 過去と未来は 現在とともに 形をかえる 花の精は 特別なときに 姿をかえる 花瓶のなかには 鳥のくちば…

酒粕とパン

寒い時期には、個性豊かな各種の 新鮮な酒粕が手に入りやすいので、うれしい。 たとえば、鍋ものやスープに加えると、 なんとも味わいに奥行きがますようだし、 ご飯を炊くときに加えると、 つややかにふっくらと、 ほんのり甘く炊き上がるので、不思議だ。 …

詩 いちご

きみが元気になるようにと あなたからのおくりものの 赤いいちご わたしは 熱でほてった 身体をおこして 花束のような 宝石のような あなたのいちごを ほおばった みずみずしく そして このうえなく 甘酸っぱい なにより あなたのやさしさを

詩 りんご

りんごの形をした雲が 水色の空に ぽかりとうかんでいた 空も おなかが空いたのだ ひとくち ふたくち かじられて ちぎれた雲は 流れ消えゆく 音もなく おだやかに

映画の年2016

2016年は映画をよく観た。 数えてみると88本を観たようで、 年に数本という年もあることを考えると、 2016年は映画の年だった。 きっかけは、 自室にビデオデッキとブラウン管TVを設置し、 VHSを再生する環境を整えたことにある。 いくつかのどうしても観た…

クリスマス

クリスマスになると思い出すことがある。 社会人になりたての頃の12月の或る夜、 学生時代からの友人たちと集まり 鍋を囲んだことがあった。 当時、西荻窪に姉妹と同居していた友人宅に向かう道すがら、 買い出しの袋をさげて、賑やかな商店街を歩いていた。…

ローズマリー

ベランダのローズマリーを ひとまわり大きな鉢に植え替えた。 株分けから5年ほどたち、 どことなく元気がないようにみえたので 植え替えてみると、鉢の中でびっしりと とても窮屈そうに根を張っていた。 乾燥や寒さに強く、手のかからない ローズマリーの生…

りんご

今年もりんごの季節がやってきた。 毎年12月に入るころ、 群馬の月夜野から収穫したてのりんごが届く。 箱をあけると甘酸っぱいなんともよい香りだ。 今年は9月の長雨の影響で、 形がいびつであったり、色づきが不安定であったり、 ところどころ傷ついたりし…

クリスチャン・ボルタンスキー アニミタスーさざめく亡霊たち

美術作家クリスチャン・ボルタンスキーの 東京での初個展「アニミタスーさざめく亡霊たち」を 目黒の東京都庭園美術館で観た。 クリスチャン・ボルタンスキー/1944ーは 匿名の人々の生や死をモチーフとした ホロコーストを連想させる作品群や、心臓音のアー…

詩 イカロス

私が私の怒りを表現したいとき 私はそれに相応しい場所にいた 私が私の哀しみを表現したいとき 私が私の喜びを表現したいとき 私はそれぞれに相応しい場所にいた 因果は同時に存在している けれど地上では すこし時差があるようにみえている 太陽の光は8分18…

詩 ナナカマド

強い雨の音につつまれて 秋の虫の音につつまれて 時間がきえる 永遠の彼方に 閉じこめられて 読まれることを 待っている書物たち また 書かれざる物語たち 時なき時を みつけては 夢の世界のように 唐突に 不可思議に 大胆に それぞれの 物語をユニークに う…

展示 アイノ・アールト | AINO AALTO Architect and Designer ー Alvar Aaltoと歩んだ25年

フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アールトの 公私におけるパートナーとして知られる アイノ・アールトの展覧会を、 竹中工務店東京本店のギャラリーエークワッドで観た。 アルヴァ・アールト/1898-1976は 20世紀前半の、新しい技術や素材および 機能…

江戸の蒸しそば

先日、アンテナショップ・ふくい南青山291で、 そろそろ新物に切り替わるタイミングであろう そば粉の在庫品が半額になっていたので、 丁度よいとばかりに購入し、 江戸時代の蒸しそばつくりにチャレンジした。 江戸時代初期頃に普及したといわるそば切りだ…

かぼす

9月の終わりに 大分から箱いっぱいのかぼすが届いた。 毎年、ポン酢や豆乳マヨネーズやドレッシングに、 マリネやミックスジュースやパスタにと大活躍しているが、 今年はじめて、はちみつ漬けを作った。 よく洗浄し、薄くスライスしたかぼずに はちみつを注…

本 わら一本の革命 | 福岡正信

自然農法の提唱者である 福岡正信の著作「自然農法 わら一本の革命」を読んだ。 自然農法の実践と哲学を 口語体で平易に記述した指南書ともいえる本作は、 1975年に柏樹社より出版され、 1983年に春秋社に引き継がれ、 増版を重ねながら読み継がれている作品…

もりとざる

蕎麦の「もり」と「ざる」の由来や違いには、 さまざまな事情が複雑に絡み合い現在に至る ひとくちには語りつくせぬストーリーがあるようだ。 蕎麦は、一説には日本では縄文時代から栽培され、 古くは「そばがき」や「そば焼き」として食べられ、 麺として食…

雨の9月

東京は 曇りや雨の多い、涼しい9月だった。 雨の日のしっとりとした静けさも心地よいが、 雨上がりの透明な空気を胸いっぱいに歩くのは とりわけ気持ちがいい。 太陽の光がきらきらと、水かさを増した隅田川に反射し、 傍らでハトは羽を広げて日干しをしてい…

展示 ジュリア・マーガレット・キャメロン展 | 三菱一号館美術館

「ジュリア・マーガッレト・キャメロン展」を 三菱一号館美術館で観た。 ジュリア・マーガレット・キャメロン/1815-79は、 イギリス領であったインドのカルカッタに生まれ、 英国の上層中流階級の社交生活を謳歌するなかで 1863年にカメラを手にし、独自の…

展示 アルテピアッツァ美唄 | 安田侃

8月の終わりに、北海道の美唄/びばいにある、 彫刻家・安田侃のホームグラウンドのひとつの 野外彫刻公園・アルテピアッツァ美唄へ行った。 札幌から北へおよそ60km、 JRの特急電車で35分ほどの美唄市は、 1913~73年に有数の炭鉱都市として栄えた町で、 JR…

映画 ココ、言葉を話すゴリラ | バーベット・シュローダー

「ココ、言葉を話すゴリラ/Koko le gorille qui parle」を 銀座メゾンエルメスのル・ステュディオで観た。 おもにフランスおよびアメリカで活躍する 映画界のプロデューサー・監督・俳優である バーベット・シュローダーが 1978年に監督したドキュメンタリ…

本 長崎原爆記・死の同心円 | 秋月辰一郎

1945年8月9日に長崎で原子爆弾を体験した 医師・秋月辰一郎/あきづきたついちろうの著作、 「長崎原爆記」と「死の同心円」を読んだ。 福島の原子力発電所の事故以来、 思いがけず人工放射線が身近なものとなり、 ふとしたきっかけで読みはじめたが、 あら…

建築 21世紀キリスト教会 | 安藤忠雄

渋谷区広尾に2014年に建てられた 安藤忠雄氏設計による「21世紀キリスト教会」へ見学に行った。 日曜日11時からの礼拝に参加する。 50名ほどだろうか、比較的若い人々を主に会場は埋まり、 前半30分は讃美歌、後半30分は講壇にあてられ、 この日は「尊敬」と…

大久保混声合唱団 第40回定期演奏会

大久保混声合唱団の第40回定期演奏会を 勝どきの第一生命ホールで聴いた。 ほぼ満員の客席は、創立59年という合唱団の 厚みのある歴史を物語っているかのようだ。 演奏会は4つのステージで構成されていたが、 とくに後半のふたつのステージを楽しく聴いた。 …

旧古河庭園と洋館/大谷美術館

陽射しはつよいが風のきもちよい午後、 北区西ヶ原の旧古河庭園と洋館/大谷美術館へ行った。 国指定名勝として東京都が管理している庭園は バラの見どころとして知られ 春と秋のシーズンは混雑しているようだが、 その日は休日にもかかわらず、 ゆったりと…

展示 フリーダ・カーロと石内都

七夕のころ、 石内都展「Frida is」を資生堂ギャラリーで観た。 1947年生まれの写真家・石内都/いしうちみやこは、 かつての生者たちの遺物を女性らしい繊細さで記録した仕事、 近年の「Mother's」や「ひろしま」「Frida by Ishiuchi」などで よく知られて…

六等星 

7月10日は参議院選挙の投票日だ。 選挙公報に目を通すものの、考えがまとまらない。 無性に、 手塚治虫の晩年の傑作「ブラックジャック」シリーズの 短編漫画「六等星」を読み返したくなった。 ある夏の夜、 ブラックジャックとピノコが花火大会を観覧してい…

展示 北大路魯山人の美

展覧会「北大路魯山人の美 和食の天才」を 三井記念美術館でみた。 「和食」のユネスコ無形文化遺産登録の記念展として 2015年6月より京都国立近代美術館で開催され、 同年8月に島根の足立美術館を、 2016年4月からは東京を巡回している企画展だ。 北大路魯…

梅酒つくり

梅雨どきの楽しみに、 旬をむかえた梅を梅酒用に仕込んだ。 バラ科サクラ属である梅の実の香りは、 同じバラ科でモモ属にあたる桃の香りと、 同じくバラ科でリンゴ属にあたるりんごの香りを併せたような 奥行きのある芳香で、触れていると気持ちよい。 梅の…