佐賀町日記

林ひとみ

2月 2023年

節分と立春を過ぎて、 春の陽ざしを感じられるようになってきた。 確定申告を早々にすませて、ほっとひと息。 ちょうど昨年の今ごろ、 北京オリンピックの最中の2月24日に、 ウクライナへのロシアの侵攻という形で、 西側と東側の戦争が始まった。 大多数の…

御岳山

お正月の松の内が明けて、 初詣の参拝も落ち着いたころ、 青梅の御岳山/みたけさんへ初登山に行った。 中央線のホリデー快速を青梅駅で下車、 各駅停車に乗り換えて、古里駅からのコースをゆく。 気温は比較的あたたかいけれど、 天気は曇りで、予報では15…

お正月 2023

今年のお正月は暖かかった。 よく晴れて、静かで、 世界が透きとおってみえた。 三が日を過ぎたころ、 近くの清澄庭園へふらりと寄った。 大すきな石の庭園。 水辺に水仙が群生している。 花のたもとがきれいに直角に傾いて、 水面に映るものの美しさに見惚…

本仁田山

今日は冬至。 雨もようのうす灰色の空がきれい。 寒いけれど、冬らしい きりっとした空気。 今年もあとわずか。 充実した一年だった。 でも世界のどこかで戦争はつづいている。 生きたくても生きられない人がいる。 闘いたくなくても闘わなければならない人…

佐賀の旅 その弐

はじめての佐賀の旅。 お昼を食べるのも忘れて、 ときどきベンチをみつけては、 佐賀名物のボーロをいただきながら、 南のほう、お城跡のほうへ向かって歩く。 ずいぶんと大きなお濠に沿って、 見事な樟/くすの並木が続いている。 戦国時代の大名・龍造寺/り…

佐賀の旅 その一

江東区の佐賀町に暮らし始めて、 2012年12月から、ちょうど10年。 小さな町の風景も少しづつ変化した。 当初は窓からスカイツリーがよく見えた。 全国的な人口減少社会のなかで、 江東区の人口は45万人から52万人に増えた。 地価の動きと連動して家賃も上が…

浅間尾根

紅葉のきれいな頃、 東京の檜野原村の浅間尾根/せんげんおねへ 山登りにいった。 まだ真っ暗なうちに起きて、 半蔵門線・水天宮駅5:02発の始発にのる。 7:00頃にJR武蔵五日市駅に着き、 山なかまのアキさんと合流。 7:10発のバスで1時間ほど西へゆられ、 8:…

赤い月

きのうの夜 赤い月をみた 雲のほとんどない ブルーブラックの夜空 星がいくつか 輝いている 大きいの 小さいの 東の低いところに 黄金色の満月も 18:09 だんだん 月が欠けはじめる そのすこし前から 大気がゆれはじめ 風もぴゅうぴゅう 月のまわりの 青白い…

高尾山

心地よい秋晴れの日、 東京八王子市の高尾山に登った。 高校1年生のレクリエーション行事で登って以来、 とても久しぶりの高尾山。 行楽地と霊山という二面性をもつ魅力的な山で、 ひとりでも道迷いの心配がないのがうれしい。 浜町から京王線直通の都営線に…

杜人 ~ 環境再生医 矢野智徳の挑戦

キネカ大森のドキュメンタリー映画祭で 「杜人 ~ 環境再生医 矢野智徳の挑戦」を観た。 日本各地で展開されている「大地の再生」プロジェクトの、 感動的な記録映画。 「杜人/もりびと」という愛称がぴったりな 造園家の矢野智徳(やのとものり)さん/1956…

高水三山

10月に入ってしばらくすると、 気温が急に下がり、とても寒くて、 あわててセーターやダウンを羽織った。 大げさかなと思いつつも、 風邪をひきたくないので、 カイロや湯たんぽも。 きけば12月の気温だったという。 家の窓からみえる公園の大きな樹も、 茜…

秋の台風

秋の台風シーズン。 9月も大きな台風がふたつ、 日本列島を通り過ぎた。 はじめ南洋の海にうまれた熱帯低気圧は、 移動しながら強風を伴う台風へと発達し、 陸上の寒気と出会うことで勢いを失って、 やがて温帯低気圧となって消滅する。 9月の中旬、とくに大…

名月 川苔山

今年の旧暦8月15日、 中秋の名月は奥多摩でみた。 登山のために滞在していた宿の広場から、 稜線の向うにかかる満月を見上げた。 はじめのうちは厚い雲に覆われて、 とても見えそうにないと思えたけれど、 噓のように雲がひき、はっきりと見えたときには、 …

三頭山

お盆が過ぎて少しした頃、 東京の端の檜原/ひのはら村の 三頭山へ登った。 猛暑を心配していたところ、 数日前から雨の予報に変わり、 雨具をスタンバイしての登山になった。 三頭山/みとうさんは、 山梨県との県境にある1531mの中山で、 今では気軽に登れ…

77回目の終戦日

今年の夏は 西瓜と枝豆をよく食べた。 西瓜はほとんど毎日、 枝豆は二日に一度くらい食べた。 食欲のない夜は、よく塩をきかせた 枝豆だけで済ませることも。 そんなとき漫画家・水木しげるさんの 短編「地獄と天国」を思い出す。 現在のパプア・ニューギニ…

大菩薩嶺

先日、山梨県の大菩薩に登った。 秩父多摩甲斐国立公園にある名山のひとつ。 山へ行くようになって あちこちで耳にする「ダイボサツ」。 見晴らしいのよい山頂と、 森林限界をこえた亜高山帯の みどり色の草原のなかを なだらかにつづく稜線が美しい、 とて…

アニエス・ヴァルダの幸福

今日は海の日。 2022年の梅雨は早々に、 例年より半月ほど早い6月27日頃に明けた。 ところがまたしばらくの雨模様、 夜は涼しくて寝やすい日がつづいたけれど、 今日連休の最終日は、海日和。 ひさしぶりの太陽に元気をもらうような、 くったりするような。 …

宮崎の青島

6月の満月の頃、 宮崎の青島へ旅をした。 ひょいと3日間、 自由に動ける時間ができたので、 直前の思いつきで西へ向かった。 日向国/ひゅうが・ひむかのくにへ。 今年の梅雨入りは、 東京は6月6日、九州は6月11日で、 雨を心配したけれど、 傘が必要なのは1…

クローバー

6月は白い花があちこちできれい。 どくだみ、やまぼうし、カラー、 くちなし、たいざんぼく、 それに名まえを知らない大小の花々も。 先日は図書館に寄ったついでに、 港区の芝公園を歩いた。 曇り空がやさしくて、緑が心地よい。 だんだん息も体もゆるんで…

鷹ノ巣山

淡いみどり色をした新緑が 揺るぎないみどり色になってきた。 このごろは夏らしいお天気の日もあるけれど、 なんとなく涼しい5月という印象。 ゴールデンウィークの終わりの頃、 奥多摩の鷹ノ巣山へ登った。 高山にはまだ雪が残るところもあるようだが、 思…

蒸気機関車 デジャヴ 鳩 

今日は子どもの日。 光の種をまく、 小さな賢者たちの日。 健やかでありますように。 といっても、 そう考えるのは大人の領分で、 実際の子どもはもっと多面的で生々しい。 7歳になる甥っ子と、3歳の姪っ子と、 静岡の大井川鐵道を旅してきた。 今年のお正月…

詩 あくび

夜中 空気洗浄機が歌を唄っていた 平和を愛する人間以外は 滅ぼしてしまえ! あまりにも人間的な なぜって そう 空気洗浄機は人間がうみだしたのだもの 力への愛だったのか 愛の力だったのか 人々はそれぞれに 意識と無意識で満たされている 健全なものが好…

いっぺんに春と秋

新年度や新学期がはじまり、 街も人もどことなく雰囲気が変わった。 新しく何かが動き出してゆくような、 躍動感と明るさが感じられて、うれしい。 人はポジティブなベクトルに安心する生き物なのだろうか。 自然とそういう流れを創りだそうとする。 それが…

さくら 2022

家のベランダの 啓翁桜の花が咲いた。 しばらく春らしいお天気が続いて、 今日の満月も影響しているのか、 例年よりすこし早い開花となった。 一昨年と昨年は、 ほんとうに花が少なく心配したが、 今年は蕾がたくさんついているので、 よかった、ほっとした…

戦争のこと

今日3月10日は東京大空襲の日。 77年前の今日の日付に変わる頃、 今わたしが住んでいる江東区は、 一面の焼け野原になった。 戦争とはいえ、 一夜にして10万の市民が亡くなった、 いまの感覚でいえばまさしくジェノサイドだろう。 当時、練馬区に住んでいた…

青梅丘陵 

2月の中旬、ちょうど満月の日に、 青梅丘陵へ山歩きにいった。 昨夏から登山をはじめて、 いろいろなツアーに参加してきたので、 そろそろひとり歩きに挑戦してみたかった。 ガイドさんに相談すると、 はじめてひとりで歩くなら、コースアウトの心配のない …

わたしの乳歯

2月はじめの節分・立春をすぎて、 まだしばらく寒い日がつづいている。 10日には雨が雪に変わったし、 今日13日も午後から雪になる予報だ。 灰色の雲に覆われて、 街はしんとしている。 そういう静かな日もいい。心なしか、 部屋のエアコンの音が大きく感じ…

1月尽 2022

あしたで1月がおわる。 日本語の国あけましておめでとう ひとみ 今年の新年句だ。 今月はいつになくよく句会に参加した。 まだ対面でできているけれど、 急遽、通信句会に切り替えた会もあった。 日本は目下、 新型コロナウイルス・オミクロン株の大流行中。…

あけまして 2022

2022年があけました。 令和は4年、干支は壬/みずのえの寅年。 明治は155年、昭和は97年、 そして皇紀は2682年、なのだそう。 いろいろな時の計り方があって面白い。 世界にはほかにもいろいろな暦があって、 そういう認識の揺らぎみたいなものに、 ものすご…

映画2本 大みそか 2021

今日で2021年もおわる。 大みそかは、俳句の季語で、 大年、大つごもり、という言い方もあるし、 それぞれの郷土の方言とか、古語などにも、 まだまだ知らない表現がたくさんありそうだ。 わたしは「大年・大歳/おほどし」がなんとなくいい。 365日の最後の…