佐賀町日記

詩人・林ひとみのスケッチ帳

詩 青むし

5月のある夜 音楽の流れる スピーカーに 小さな青むしが はりついていた もしかすると 音楽がすきな 未来の蝶かもしれない 思いがけない ちいさななかまと 流れる音に 耳を澄ましていると ゆらり ふわりと あたたかくも すずやかな 夜風が カーテンを揺らし…

令和 元年

明日5月1日より元号が 平成から令和になる。 今回2019年の改元は、 元号が一世一元に定められた明治から 大正・昭和・平成への代替わりとは異なり、 天皇陛下の生前退位に伴うものだ。そのため、 巷では令和の印のはいった煎餅や饅頭を見かけるなど、 時代の…

詩 そら

木立のレースにかこまれた 土色のグラウンドに 空たかく たかく蹴りあげられた サッカーボール その行方をみつめる 3歳のあどけなき少年は つぶやいた お空がわれちゃうかとおもって びっくりした そうだ お空がわれたらどうなるの ときいてみると がらがら…

大分へゆく

4月の上旬、 九州の大分へ旅をした。 大分市の中心街に1泊、 そこから電車で1時間ほどの湯布院に1泊の、 小さな旅だ。 羽田から大分空港への約90分の空の旅は、 まるで絵巻物をみているようだ。 広い関東平野を後に、シンボリックな富士山を見つつ、 静岡や…

さくら日和

東京は今週末、桜の見ごろを迎えている。 また寒さが戻ってきたので、 花も長持ちして、しばらく楽しめそうだ。 3月の上旬はずいぶん春めいた日がつづき、 家のベランダの啓翁桜/けいおうざくらは いつになく早々と咲きはじめた。けれども、 そろそろ満開の…

さくら 2019

ベランダの鉢植えの 啓翁桜/けいおうざくらの花がふたつ咲いた。 昨夜からぱらぱらと降り始めた雨は、 朝方にはしっかりした雨足になり、 今朝もしずしずと街に降りつづいている。 春の雨はなんだか音がないように静かだ。 ここのところ、晴れたり降ったり…

パンつくり

日に日に春めきつつある如月も後半、 空気の乾燥もずいぶんやわらいで、 夜半に空高くのぼった月は、この時期ならではに、 ぼんやりと霞がかった光が幻想的だった。 そんな或る日、お店で酒粕をみつけて、 思い出したようにひさしぶりに 酒種酵母のパンをつ…

ゆきがふる

今日は東京に雪が降っている。 朝方から粉雪が降りはじめ、しばしの休止をはさみつつ、 ぱらぱらと、ときおり本格的に舞ったりと、 表情をころころ変えながら、空はいつになく、 ライトグレーの分厚い雪雲に覆われている。 今季の東京の初雪は、 気象庁の発…

皇居参観

成人の祝日のあたりに、 はじめて皇居の一般参観に参加した。 その日は寒くお天気も不安定だったけれど、 午前と午後に一回ずつ設けられている一般参観の、 参加した午後の回には、おそらく300人近くが集まっていた。 東京駅の西方、皇居の東側の桔梗門付近…

卒業試験公開演奏会

お正月の三が日が明けてすぐ、 上野の東京藝術大学・奏楽堂で行われた 卒業試験公開演奏会を聴いた。 12月から冬休みをはさんで1月いっぱい行われている 音楽学部の卒業試験公開演奏会は、 年明けすぐの2日間に、声楽科55名の 卒業試験を兼ねた演奏会が行わ…

音楽の冬期講習会

クリスマスの時期に4日間、 音楽学校の冬期講習会を受講した。 講義は連日9~12時の3時間に行われ、 大学受験をひかえる高校生たちを主に 数人の社会人がまじった25名前後で、 ソルフェージュと楽典を勉強した。 声楽を勉強していくなかで 必要を感じたので…

とらや赤坂本店 | 内藤廣

先日、リニューアルした「とらや赤坂本店」へ行った。 ずいぶん長いこと建て替え工事中と思っていたら、 内藤廣氏の設計による新しい本店は、 すっきりとした佇まいのなかに、 木のあたたかみを感じさせる、 たおやかな空間に生まれ変わっていた。 地上3階・…

冬とティートリー

今年は秋から冬のはじめにかけて ずいぶんあたたい日がつづいている。 ときおり思い出したように 寒々とした冬空が訪れることがあっても、 またすぐに過ごしやすい日和につつまれて、 コートの出番はもうすこし後になりそうだ。 だからめずらしく 木枯らしも…

詩集「藍の月」

詩集「藍の月」をつくりました。 A5判、68頁。 詩22篇を挿画ととも収録。 2018年11月22日発行。 詩集を通して たくさんの方と出逢えますように。 下記よりご注文いただけます。 よろしくお願いいたします。 季節書房HP https://kisetu-shobou.jimdofree.com …

バラの花 またひとつ

ベランダの鉢植えの バラの花がまたひとつ咲いた。 今年4月に挿し木した幼いバラの樹に 花が咲いてびっくりしたのは秋分の9月23日頃だった。 そのひとつめの花は1週間ほど元気に咲いていたが、 9月30日から翌10日1日にかけての夜中に通過した ものすごく大き…

詩 かぼちゃ

トリック・オア・トリート! いたずら・か・お菓子! かぼちゃの ランタンに照らされて 呪文をとなえる ハロウィンの魔法の夜 ニャーニャオと かわいらしい2匹の猫が 電車にのってきた 三角の耳に ふさふさした体毛と しっぽのついた グレーの猫は こどもで…

かぼす 2018

今年もかぼすの季節がやってきた。 猛暑や台風などの変りやすいお天気にもめげず、 むしろ寒暖の差のはげしさも手伝って、 今年はたとえばぶどうの実りがよいときいたけれど、 9月のおわりに届いた大分のかぼすも、 いつになく元気いっぱいだった。 夏はあん…

声楽公開レッスン ウィリアム・マッテウッツィ

先日、国立音楽大学・講堂小ホールで 声楽の公開レッスンを聴講した。 講師はイタリアから招聘された William matteuzzi/ウィリアム・マッテウッツィ教授で、 2015年以来、毎年来日し講義されているそうなので、 今年で4年目・4回目になるのだろうか。 イタ…

バラの花

4月に挿し木したばかりの バラの樹に、一輪の花が咲いた。 まだ背丈も30㎝にならないくらいの 子どもの樹だと思っていたので、 つぼみができて、ふくらんで、 日々すこしずつひらいていく様子に、 ほんとうにびっくりした。 昨年11月に切り花でいただいた時…

ルネ・フレミング 魂の声

アメリカのオペラ歌手 ルネ・フレミ ング/Renée Flemingの自伝 「THE INNER VOICE : The Making of a Singer /魂の声 プリマドンナができるまで」を再読した。 冒頭でも語られているように本書は 人生の自伝というよりも声の自伝、 「私がいかにして自分の…

あつい夏

2018年の夏はほんとうに暑かった。 ときどき台風が通り過ぎて つかの間の涼しさにほっとすることもあったけれど、 またすぐに太陽がギラギラと、 そのうちにメラメラと、 降りそそぐ熱量がすさまじかった。 小学校の中学年頃だったか、 夏休みの宿題のひとつ…

40年

今年2018年の8月で40歳になる。 はじめて到達する年代に、今まで感じたことのない、 ほどよい重みを感じている。 たとえば、木の年輪やバウムクーヘンの重なりを ひとつずつ数えてみる。 1.2.3.4.5・・・10・・・20・・・30・・・と、 30くらいまでは気軽な…

声楽の発表会

猛暑が続く東京は代々木上原のムジカーザで、 声楽の発表会を鑑賞した。 5月から通い始めた声楽教室の発表会と、 フランス歌曲を専門とする先生が敬愛する ドビュッシー/1862‐1918の没後100年を 記念したミニコンサートを併せての、 ボリュームたっぷりのマ…

溥儀 | わが半生 「満州国」皇帝の自伝

初夏から梅雨にかけて 溥儀/ふぎの自伝「わが半生/我的前半生」を読んだ。 昨夏に記録映画「東京裁判」を観た際に、 法廷で証言をする溥儀に興味をもったことと、 ベルトルッチの映画「ラストエンペラー」を 再観したことが、きっかっけだった。 愛新覚羅…

茅の輪くぐり

夏日がつづいている関東地方、 2018年の梅雨は6月29日頃にあけたことを 山手線のトレインチャンネルで知った。 そろそろ夏も本番だ。 翌日、6月も最終日のよく晴れた空に、 太陽をぐるっとかこんだ虹のようなものが現れた。 ちょうどお昼頃だったので 太陽は…

図書館

図書館がすきでよく利用する。 詳しく調べたい事柄があるときは 蔵書検索のデーターベースがとても便利だし、 区内に在庫がないときは 他区の図書館から取り寄せて借りることもできるし、 新しい世界を求めているとき、 あるいはなんとなく、 なにかと近所の…

エルンスト・ルビッチ | To Be or Not to Be

エルンスト・ルビッチ/Erunst Lubitsch の 映画「To Be or Not to Be/生きるべきか死ぬべきか」を観た。 第二次大戦中の1942年にアメリカで制作された本作は、 恋愛と戦争サスペンスとが織り込まれた シニカルなコメディタッチのモノクローム映画だ。 物語…

バラの樹

子どものころ住んでいた祖父母の家の庭に 淡いピンク色のバラの樹があった。 幼児ほどの背丈の若い樹だったように思う。 家を建替えて間もない頃だったので 気ままに造園していたのかもしれない、 あるとき祖母が挿し木という園芸方法を教えてくれた。 ある…

ミルチャ・カントル展 | 銀座メゾンエルメス

先日、銀座メゾンエルメスのギャラリーで ミルチャ・カントル展を観た。 「あなたの存在に対する形容詞」と題された個展は、 1977年ルーマニア生まれのアーティストMircea Cantorが、 人間の存在性というテーマに取組み、 たとえば空気のように顧みられにく…

詩 しゃぼん玉

まんまる きらきら 夢いっぱいに ふくらんだ しゃぼん玉のような こどものひとみが いつしか 音もなく はじけて しぼんでしまうことがあっても だいじょうぶ 地球に やってきたばかりの 幼いたましいは 色々なことを 経験したくて 好奇心で いっぱいだから …