読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

すみだ北斎美術館

染井吉野が葉桜になりかけ、八重桜が満開に近い頃、 昨年11月にオープンした、すみだ北斎美術館へ行った。 江戸時代後期の絵師・葛飾北斎/1760-1849の ほぼ生誕の地に新設されたという美術館は、 JR両国駅からほど近い緑町公園の一角にあった。 一説によ…

美についての覚書

純粋で美しい者は、 そもそも人間の敵なのだということを忘れてはいけない。 /「天人五衰」著・三島由紀夫 美は、ただそれだけで、醜いこの世への侮蔑です。 美は誰にも愛せぬものです。 /「天井桟敷の人々」脚本・ジャック・プレヴェール 訳・山田宏一 人…

古唐津 | 出光美術館

3月の終わりに、有楽町の出光美術館で 古唐津/こがらつ展を観た。 古唐津とは、桃山時代/16~17世紀にかけて 九州の肥前/佐賀および長崎地域で焼かれた焼き物で、 戦国大名が連れ帰った朝鮮陶工たちを起源とする 近世初期の窯場のひとつだ。 展覧会では、…

さくら 2017

今年も、ベランダの啓翁桜が開花した。 一年ぶりに、 淡いピンク色の花に逢えて、うれしい。 さくらの花の塩漬けをつくってみたいけれど、 咲いている最中の花を摘むことに、 なかなかためらいを感じてしまうのです。 さくら sagacho-nikki.hatenablog.com

木山捷平 | 井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど

木山捷平/きやましょうへいの晩年の短編集 「井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど」を読んだ。 備中/岡山出身の木山捷平/1904‐1968は、 終戦間際の1944年12月に40歳で満州へ徴用され、 中国・長春で農地開発公社の嘱託に就き、 ほどなく現地召集をうけて応召…

山陰の旅 鳥取編 

中国山地の北側に位置し 日本海に面して東西にひろがる山陰地方は、 古代にまでさかのぼる歴史をもち、 かつて出雲・石見・隠岐・伯耆・因幡と呼ばれた国々は 多くの神話の舞台となったことから、 神話の国とも謳われている。 島根から東へ、中海/なかうみ…

山陰の旅 島根編

冬の名残と春の陽気が交差する3月の上旬に 山陰の島根・鳥取へ小旅行をした。 島根の出雲大社・足立美術館・松江・美保神社、 鳥取の境港・倉吉・智頭宿・砂丘を巡り、 玉造と三朝の温泉に宿泊するという 駆け足のバス旅行だったが、 はじめて訪れた山陰地方…

詩 ラピスラズリ

純粋さは 否定によって強化される 繊細すぎる君は 愛を忘れてしまう あなたを想う独りの時間を あなたに侵されたくない とうたっている 動物でも天使でもなく 無邪気な子供のやり方で 青い嵐をおこす わかっている 星の位置は そのうち変わる 思い出す 生ま…

深川のお不動さん

1月の終わりころ、ぎっくり腰を経験した。 朝起きしなに、物を取ろうと ほんのすこし前屈した瞬間に、激痛がはしった。 背中から腰にかけての鋭い痛みに、 しばらくの間、どうにもこうにも動けなかったが、 症状が落ちついてから、近所の整体院へ初診に伺う…

詩 オレンジ

オレンジ色に 塗られたオレンジ 忘れてしまう 忘れてしまったことさえも 忘れてしまう 小さな雪の 降る朝に オレンジ色のくちばしの 鳥が2羽 飛んできた 過去と未来は 現在とともに 形をかえる 花の精は 特別なときに 姿をかえる 花瓶のなかには 鳥のくちば…

酒粕とパン

寒い時期には、個性豊かな各種の 新鮮な酒粕が手に入りやすいので、うれしい。 たとえば、鍋ものやスープに加えると、 なんとも味わいに奥行きがますようだし、 ご飯を炊くときに加えると、 つややかにふっくらと、 ほんのり甘く炊き上がるので、不思議だ。 …

詩 いちご

きみが元気になるようにと あなたからのおくりものの 赤いいちご わたしは 熱でほてった 身体をおこして 花束のような 宝石のような あなたのいちごを ほおばった みずみずしく そして このうえなく 甘酸っぱい なにより あなたのやさしさを

詩 りんご

りんごの形をした雲が 水色の空に ぽかりとうかんでいた 空も おなかが空いたのだ ひとくち ふたくち かじられて ちぎれた雲は 流れ消えゆく 音もなく おだやかに

映画の年2016

2016年は映画をよく観た。 数えてみると88本を観たようで、 年に数本という年もあることを考えると、 2016年は映画の年だった。 きっかけは、 自室にビデオデッキとブラウン管TVを設置し、 VHSを再生する環境を整えたことにある。 いくつかのどうしても観た…

クリスマス

クリスマスになると思い出すことがある。 社会人になりたての頃の12月の或る夜、 学生時代からの友人たちと集まり 鍋を囲んだことがあった。 当時、西荻窪に姉妹と同居していた友人宅に向かう道すがら、 買い出しの袋をさげて、賑やかな商店街を歩いていた。…

ローズマリー

ベランダのローズマリーを ひとまわり大きな鉢に植え替えた。 株分けから5年ほどたち、 どことなく元気がないようにみえたので 植え替えてみると、鉢の中でびっしりと とても窮屈そうに根を張っていた。 乾燥や寒さに強く、手のかからない ローズマリーの生…

りんご

今年もりんごの季節がやってきた。 毎年12月に入るころ、 群馬の月夜野から収穫したてのりんごが届く。 箱をあけると甘酸っぱいなんともよい香りだ。 今年は9月の長雨の影響で、 形がいびつであったり、色づきが不安定であったり、 ところどころ傷ついたりし…

クリスチャン・ボルタンスキー アニミタスーさざめく亡霊たち

美術作家クリスチャン・ボルタンスキーの 東京での初個展「アニミタスーさざめく亡霊たち」を 目黒の東京都庭園美術館で観た。 クリスチャン・ボルタンスキー/1944ーは 匿名の人々の生や死をモチーフとした ホロコーストを連想させる作品群や、心臓音のアー…

詩 イカロス

私が私の怒りを表現したいとき 私はそれに相応しい場所にいた 私が私の哀しみを表現したいとき 私が私の喜びを表現したいとき 私はそれぞれに相応しい場所にいた 因果は同時に存在している けれど地上では すこし時差があるようにみえている 太陽の光は8分18…

詩 ナナカマド

強い雨の音につつまれて 秋の虫の音につつまれて 時間がきえる 永遠の彼方に 閉じこめられて 読まれることを 待っている書物たち また 書かれざる物語たち 時なき時を みつけては 夢の世界のように 唐突に 不可思議に 大胆に それぞれの 物語をユニークに う…

展示 アイノ・アールト | AINO AALTO Architect and Designer ー Alvar Aaltoと歩んだ25年

フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アールトの 公私におけるパートナーとして知られる アイノ・アールトの展覧会を、 竹中工務店東京本店のギャラリーエークワッドで観た。 アルヴァ・アールト/1898-1976は 20世紀前半の、新しい技術や素材および 機能…

江戸の蒸しそば

先日、アンテナショップ・ふくい南青山291で、 そろそろ新物に切り替わるタイミングであろう そば粉の在庫品が半額になっていたので、 丁度よいとばかりに購入し、 江戸時代の蒸しそばつくりにチャレンジした。 江戸時代初期頃に普及したといわるそば切りだ…

かぼす

9月の終わりに 大分から箱いっぱいのかぼすが届いた。 毎年、ポン酢や豆乳マヨネーズやドレッシングに、 マリネやミックスジュースやパスタにと大活躍しているが、 今年はじめて、はちみつ漬けを作った。 よく洗浄し、薄くスライスしたかぼずに はちみつを注…

本 わら一本の革命 | 福岡正信

自然農法の提唱者である 福岡正信の著作「自然農法 わら一本の革命」を読んだ。 自然農法の実践と哲学を 口語体で平易に記述した指南書ともいえる本作は、 1975年に柏樹社より出版され、 1983年に春秋社に引き継がれ、 増版を重ねながら読み継がれている作品…

もりとざる

蕎麦の「もり」と「ざる」の由来や違いには、 さまざまな事情が複雑に絡み合い現在に至る ひとくちには語りつくせぬストーリーがあるようだ。 蕎麦は、一説には日本では縄文時代から栽培され、 古くは「そばがき」や「そば焼き」として食べられ、 麺として食…

雨の9月

東京は 曇りや雨の多い、涼しい9月だった。 雨の日のしっとりとした静けさも心地よいが、 雨上がりの透明な空気を胸いっぱいに歩くのは とりわけ気持ちがいい。 太陽の光がきらきらと、水かさを増した隅田川に反射し、 傍らでハトは羽を広げて日干しをしてい…

展示 ジュリア・マーガレット・キャメロン展 | 三菱一号館美術館

「ジュリア・マーガッレト・キャメロン展」を 三菱一号館美術館で観た。 ジュリア・マーガレット・キャメロン/1815-79は、 イギリス領であったインドのカルカッタに生まれ、 英国の上層中流階級の社交生活を謳歌するなかで 1863年にカメラを手にし、独自の…

展示 アルテピアッツァ美唄 | 安田侃

8月の終わりに、北海道の美唄/びばいにある、 彫刻家・安田侃のホームグラウンドのひとつの 野外彫刻公園・アルテピアッツァ美唄へ行った。 札幌から北へおよそ60km、 JRの特急電車で35分ほどの美唄市は、 1913~73年に有数の炭鉱都市として栄えた町で、 JR…

映画 ココ、言葉を話すゴリラ | バーベット・シュローダー

「ココ、言葉を話すゴリラ/Koko le gorille qui parle」を 銀座メゾンエルメスのル・ステュディオで観た。 おもにフランスおよびアメリカで活躍する 映画界のプロデューサー・監督・俳優である バーベット・シュローダーが 1978年に監督したドキュメンタリ…

本 長崎原爆記・死の同心円 | 秋月辰一郎

1945年8月9日に長崎で原子爆弾を体験した 医師・秋月辰一郎/あきづきたついちろうの著作、 「長崎原爆記」と「死の同心円」を読んだ。 福島の原子力発電所の事故以来、 思いがけず人工放射線が身近なものとなり、 ふとしたきっかけで読みはじめたが、 あら…

建築 21世紀キリスト教会 | 安藤忠雄

渋谷区広尾に2014年に建てられた 安藤忠雄氏設計による「21世紀キリスト教会」へ見学に行った。 日曜日11時からの礼拝に参加する。 50名ほどだろうか、比較的若い人々を主に会場は埋まり、 前半30分は讃美歌、後半30分は講壇にあてられ、 この日は「尊敬」と…

大久保混声合唱団 第40回定期演奏会

大久保混声合唱団の第40回定期演奏会を 勝どきの第一生命ホールで聴いた。 ほぼ満員の客席は、創立59年という合唱団の 厚みのある歴史を物語っているかのようだ。 演奏会は4つのステージで構成されていたが、 とくに後半のふたつのステージを楽しく聴いた。 …

旧古河庭園と洋館/大谷美術館

陽射しはつよいが風のきもちよい午後、 北区西ヶ原の旧古河庭園と洋館/大谷美術館へ行った。 国指定名勝として東京都が管理している庭園は バラの見どころとして知られ 春と秋のシーズンは混雑しているようだが、 その日は休日にもかかわらず、 ゆったりと…

展示 フリーダ・カーロと石内都

七夕のころ、 石内都展「Frida is」を資生堂ギャラリーで観た。 1947年生まれの写真家・石内都/いしうちみやこは、 かつての生者たちの遺物を女性らしい繊細さで記録した仕事、 近年の「Mother's」や「ひろしま」「Frida by Ishiuchi」などで よく知られて…

六等星 

7月10日は参議院選挙の投票日だ。 選挙公報に目を通すものの、考えがまとまらない。 無性に、 手塚治虫の晩年の傑作「ブラックジャック」シリーズの 短編漫画「六等星」を読み返したくなった。 ある夏の夜、 ブラックジャックとピノコが花火大会を観覧してい…

展示 北大路魯山人の美

展覧会「北大路魯山人の美 和食の天才」を 三井記念美術館でみた。 「和食」のユネスコ無形文化遺産登録の記念展として 2015年6月より京都国立近代美術館で開催され、 同年8月に島根の足立美術館を、 2016年4月からは東京を巡回している企画展だ。 北大路魯…

梅酒つくり

梅雨どきの楽しみに、 旬をむかえた梅を梅酒用に仕込んだ。 バラ科サクラ属である梅の実の香りは、 同じバラ科でモモ属にあたる桃の香りと、 同じくバラ科でリンゴ属にあたるりんごの香りを併せたような 奥行きのある芳香で、触れていると気持ちよい。 梅の…

メフィストフェレス

文豪ゲーテの戯曲「ファウスト」に登場する 悪魔メフィストフェレスの存在は興味深い。 「ファウスト」は、 ゲーテが20代で初稿を執筆して以来、 第一部は1808年/著者59歳、 第二部は死後翌年の1833年に出版されたという、 生涯を通じてしたためられた大作…

惑星地球

地球はおよそ 時速1666㎞/秒速460mで自転しながら、 時速10万㎞/秒速30㎞で太陽のまわりを公転しているという。 私たちは地上に存在しながらも その速度を体感することはないため事実を忘れがちだが、 ふとしたときに惑星の驚異的な運動を想像すると 地上…

火球

6月2日の22時すこし前に南西の空にみた 明るく大きな流れ星は火球/かきゅうといい、 その跡の飛行機雲のようなものは 流星痕/りゅうせいこんというそうだ。 日本では平均すると 月に数個程度の頻度で目撃されているという。 その夜は 同時刻にかなり多くの…

流れ星

昨夜22時すこし前、 風のある曇った南西の夜空に 不思議な光が流れ落ちるのをみた。 就寝前に軽くストレッチをした後 しばらく空を眺めるいつも通りの夜だったが、 比較的空の低い位置に、 かすかに青白く点滅しながら動く綺麗な光が目に入り、 しばらく見と…

広島と長崎

2016年5月27日夕方 伊勢志摩サミットのために来日していた アメリカのオバマ大統領が広島を訪れスピーチを行った。 翌日の新聞には その英語原文と日本語訳が掲載され、 日経、朝日、毎日の各紙の邦訳はそれぞれに魅力的で、 読み応えがあった。 歴史的に意…

太陽チャージャー

数か月前からソーラーチャージャーを使い始めた。 太陽光ではじめてi phoneを充電したときの感動は、 人類がはじめて火を発見したときの感動に 比べるべくはないにしても、ほんとうに新鮮な喜びだった。 あまねく降り注ぐ太陽の光のエネルギーを、 私たちの…

演奏会 CANTUS ANIMAE The 20th Concert

混声合唱団Cantus Animae/カントゥス アニメの 第20回演奏会を第一生命ホールで聴いた。 Cantus Animaeの51人のステージは、 数年前に他界した作曲家/三善晃の作品と、 20回という節目の演奏会のために委嘱された 若手の作曲家3名の作品とで構成され、 20世…

本 ピエール・リヴィエールの犯罪 狂気と理性 | ミッシェル・フーコー編著

コレージュ・ド・フランス/国立特別高等教育機関における 哲学者ミッシェル・フーコー率いるゼミナールの共同研究書である、 「ピエール・リヴィエールの犯罪 狂気と理性」を読んだ。 オリジナルは1973年にガリマール出版社より、 邦訳は1975年に河出書房新…

本 ジャンヌ・ダルク復権裁判 | R・ペルヌー編著 高山一彦訳

中世史学者であり、ジャンヌ・ダルク研究における第一人者である、 今は亡きレジーヌ・ペルヌー編著による 「ジャンヌ・ダルク復権裁判」を読んだ。 原書は若かりし頃の女史が編纂し、 1953年にフランスで出版されたものだが、 時を経て、高山一彦氏により日…

本 ジャンヌ・ダルク処刑裁判 | 高山一彦編訳

フランス史におけるジャンヌ・ダルク研究者である、 高山一彦による編訳の「ジャンヌ・ダルク処刑裁判」を読んだ。 1971年に現代思潮社より初版刊行、 1984年に大幅な改訂版が白水社より、 2002年には「ジャンヌ・ダルク復権裁判」の訳書とともに、 新装版と…

映画 ロベール・ブレッソン | ジャンヌ・ダルク裁判

ロベール・ブレッソンの「ジャンヌ・ダルク裁判」を観た。 監督にとっては中期にあたる、1961年に撮影された、 フランスの聖女についての、61分のモノクロの作品だ。 ジャンヌ・ダルクは、 フランス国内およびイギリスにまたがり、 およそ116年ものあいだ争…

さくら

ベランダのさくらが開花した。 7年前の春に、花屋でみつけた枝ものの桜を、 植木鉢に挿し木した、小ぶりの樹木だ。 種名を啓翁桜/けいおうざくらといい、 毎年、淡いピンク色の花を楽しませてくれる。 啓翁桜は、 山形県の特産品として栽培されているが、 …

絹のコーヒーフィルター

絹のコーヒーフィルターで淹れたコーヒーが とても美味しかった。 家でドリップする際に、 紙のフィルターをきらしてしまったので、 代用できるものはと画策し、 はぎれのシルクで裁縫したのがきっかけだ。 ネル/フランネルや、ケナフなど、 フィルターによ…